ゾア
Zoa
ナイジェリアのニジェール川上流域に住むソンガイ族の信仰に登場する精霊。ソンガイ族の始祖神であるとともに守護霊ともされる。
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Zoa
ナイジェリアのニジェール川上流域に住むソンガイ族の信仰に登場する精霊。ソンガイ族の始祖神であるとともに守護霊ともされる。
Dzoavits
アメリカのネヴァダ州・ユタ州に住むネイティブアメリカンの一部族、ショショーニ族の神話に伝わる巨人。子供を捕まえて食べる残虐な怪物だとされる。神話の中でのゾアヴィッツは、鳩の親子を食べようと執拗に追いかけたが鳩に味方した色々な動物の妨害によって鳩の親子を捕まえられず、最後には穴に誘い込まれた上に熱い岩で蓋をされて退治されてしまった。
Zhēng
中国において最古の地理書とされる「山海経」に言及されている生物。西山の章莪山に棲み、豹のような姿の獣で体は赤く、5つの尾、1つの角を持つ。石をかち合わせたような声で鳴く。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v01p052
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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Cǎo-xié dà-wáng
中国道教において草鞋、つまりわらじを司る旅人の守護神。ある旅人が草鞋を履き替えるとき、古いほうを目の前にあった古木の枝にかけた。これを他の旅人も次々と真似したので、街道のそばにあったその古木には沢山の古い草鞋が枝にかけられた。やがてその古木は占いで効験があるとされ、またある旅人によって「草鞋大王ここに降る」の木の幹に字が彫られた。これを受けて、昔その古木の辺りに住んでいた親切な兵士の霊が神の命によって草鞋大王となり、古木に宿った。
ぞうかのさんしん
日本記紀神話において、また神道思想上で万物生成化育の根元神とする三神。世界の始まりにおいて現れた天之御中主神の中心とする三柱の神で、別天神の始めの三神にあたる。これらの神は多分に観念的な神で他の神ともほとんど関わらない。
Zăo-jū
中国における水と木の精霊の一人。身長が20cmもない小さな老人の姿で、夏は森林に棲み、冬は川に棲むという。あるとき、この藻居が漢の武帝の前に出現し、何も言わずに天井と床を指差して消えたことがあった。賢者と名高い東方朔は、これは宮殿建設の為に精霊の住む林を伐採するのを止めるように頼みにきたのだと解説した。皇帝はこの意見を聞いて宮殿建設を中止したが、その直後に瓠子河を行幸すると、精霊たちが出現し、楽器を演奏し、歌を歌って返礼したと言う。
Sāo-yú
中国の最古の地理書とされる「山海経」に記されている、凶兆とされる魚。西山の鳥鼠同穴山を流れる渭水に生息する、「鱣魚(てんぎょ=鯉の仲間)」のような魚で、この魚が騒ぐと国に大戦が起こるという。現在のニゴイのことではないかと考えられている。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v01p060
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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Zǎo-yú
中国の最古の地理書とされる「山海経」に記されている奇妙な魚。北山の獄法山に流れる瀤水に多く生息しており、全体的には鯉のような姿の魚だが鶏のような足が生えているという。この魚を食べると食べると疣を癒されるとされる。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v02p010
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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Zaojun
中国道教における竈の神。少なくとも紀元前2世紀にはすでに信仰されており、また現在でも中国を始めとする東南アジアの広い地域で信仰されている。竈君の神像は台所にかまどの上に掲げられるいて、新年には「糖餅(タンピン)」と呼ばれる砂糖菓子や肉、果物、酒が捧げられ、唇には麦芽飴が塗られる。麦芽飴を塗るのは、竈君が竈の神であるという以上に玉皇大帝にそれぞれの家の家族一人一人の行いを報告する神として重要視されているためであり、つまり報告の時に竈君に「甘く」述べてもらえるだろう、という俗信からきている。竈君の神像は新年になる度に焼かれるが、これは竈君は天に昇るのを助けるためである。
ある伝承によれば、竈君は元々「張郎」という男だった。自分の妻を捨て若い女に走ったひどい男だったが、すぐに女には逃げられてしまい、しかも眼まで見えなくなってしまった。乞食になるしかなかった彼は家々を回っては物乞いしていた。そのうち、彼はそれとは気づかず昔に妻だった女性の家で物乞いをし、妻は彼の大好物を食べさせてやった。これが手がかりとなって彼は赤の他人だとばかり思っていた相手が昔の妻だと気づき、妻に自分の身の上を打ち明けた。すると妻に眼を開けるように彼に言った。彼がその言葉に従うと、目はまた見えるようになっていた。しかし、彼は過去の自分の振舞いをあまりにも恥ずかしく思い、炉に飛び込んで焼け死んだ。昔妻だった女性はかろうじて、男の足だけを救い出すことが出来た。こうして火掻き棒のことを「張郎(蟑螂=ゴキブリ)の足」と呼ぶようになったと言う(張郎もゴキブリも「Zhāng-láng」と発音する)。
Cāng-xié
そうげんび
日本において、炎の中に坊主の顔が浮かんで見えるという怪火の一種。鳥山石燕の「画図百鬼夜行」では京都の壬生寺のほとりに出現するもので、俗に「宗源火」とも書くとしている。この宗源は元は僧であったが、壬生寺の賽銭や灯明の油を盗んでいたので、死んだあとに自分の顔が炎に浮かんだ叢原火という鬼火になったのだといわれている。死んで怪火になることはよくあり、「古今百物語評判」では比叡山中堂の油を盗んでいた僧侶が叢原火そっくりの鬼火になった話がある。
李冠光賢画
「怪物画本(かいぶつえほん)」より
国際日本文化研究センター蔵
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Sòng-zǐ niáng-niáng
Virūḍhaka
仏教において四方を守護する四天王の一尊で南方の守護神。「ぞうちょうてん」とも読む。サンスクリット名では「ヴィルーダカ(Virūḍhaka)」と呼ばれ、「発芽しはじめた穀物」や「増大すること」を表すため、これを漢訳して増長天とする。他にも「ヴィルーダカ」の音から「毘留勒(びるろく)」、「毘流離(びりゅうり)」、「毗楼勒叉王(びろうろくしゃおう)」、「毘楼勒叉(びるろくしゃ)」、「毘嚕陀迦(びるだか)」と呼ばれたり、南方を守護することから「南方天(なんぽうてん)」と呼ばれたりもする。他の四天王と同じく帝釈天の眷属であり、須弥山の南方中腹に住む。名前の由来の通り育成や成長を司り、五穀豊穣の神として信仰される。その姿は一般的に赤い体に鎧と天衣を重ねて纏い、右手に剣または矛をもった姿で表される。まれに 剣や矛の代わりに弓矢を持つものもある。眷属としては八部鬼衆の鳩槃荼や薜茘多(へいれいた→餓鬼)を従える。十六善神の一尊でもある。南方の守護神として、胎蔵界曼荼羅では外金剛部院の南方(右)中央に配置される。
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 天之巻」より
国立国会図書館蔵
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国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 天之巻」より
国立国会図書館蔵
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「諸尊図像鈔(写)(しょそんずぞうしょう)」(不明)より
ページ:v09p031
著者不明
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v03p022
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v04p005
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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大般若守護十六善神の一尊として
「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v04p005
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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觀音廾八部衆(→二十八部衆)の一尊として
そうぜんしん
日本の東北地方で信仰される馬の守護神。「蒼前様(そうぜんさま)」とも呼ばれる。また「そうぜん」は「勝善」、「相染」などの字もあてられる。「蒼前」とは「驄騚(そうぜん=葦毛で四肢が白い馬のこと)」という語を元にしている考えられる。岩手県の九戸郡地方では12月9日を蒼前神の祭日として牛馬を飼う家は必ず供え物を捧げた。岩手県二戸郡では馬頭観音と同一視され、1月16日になると馬の飾り参詣した。秋田県仙北郡では猿太夫(猿回しを生業とする者のことであり、昔は馬医を兼ねていた)と呼ばれる祈祷師が家々をめぐり厩祈祷を行った。また博労衆(牛馬の仲買人)は蒼前神に御神酒を供えてから馬の売買を行ったされる。
馬頭観音の他にも、同じく馬の守護神である駒形神と同一視される場合があり、駒形神社を「蒼前様」と呼ぶ事がある。またおしら様と同様に養蚕の神として信仰されることもある。
Shuāng shuāng
「雙雙」とも記述する。中国最古の地理書とされる「山海経」の大荒南経の項に記される生物。南海の外、赤水の西方で流沙の東側に住むという。青い三つの獣がくっつき合った姿をしているという。應鎬の図では鳥が三羽寄り添っているような姿で描かれており、三青鳥との混同があると思われる。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v04p017
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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有三青獸相幷 名曰雙雙〔言體合為一也公羊傳所云雙雙而俱至者蓋謂此也〕
The creator and changer
ネイティブアメリカンのスノホミシュ族に伝えられる創造神。"創造者にしてそれを変える者"は、最初は東の土地に世界をつくり、徐々に西へと進んだ。沢山の言語を携え、それを創造した部族にごとに与えていった。ピュージェット湾(アメリカ西海岸最北部のシアトル市)に来るとその場所が気に入り、そこにとどまることにした。しかし、まだ言語は沢山あったので、"創造者にしてそれを変える者"はその周辺に残りの言語をばら撒いた。このためピュージェット湾周辺では今でも多数の(ネイティブアメリカンの)言語が存在するのだという。"創造者にしてそれを変える者"が作った世界には欠陥があり、それは背の高いものなら天に頭がついてしまうほど空が低いことだった。このため禁を侵し木に登って天界にいこうとする者もいた。そこで人間を始めとする動物たちはいっせいに空を持ち上げようと決めたが、みんな言語が違うので意思が疎通できない。ある者が、「どの部族でも持ち上げる時の掛け声は『ヤホー』と言うことに決めよう」と言った。こうして空は高くなった。
Sòng-dì wáng
仏教や道教において地獄で審判を行うとされる十王のうち、三七日の審判を司るとされる仏尊。「宋帝大王洞明善静真君(そうていだいおうどうみょうぜんせいしんくん)」とも呼ばれる。「宋」は「尊徳」、「帝」は「主君の義」を表すと解釈され、聡明知略にして冥官の崇敬が篤いという。黒縄大地獄の主とされ、文殊菩薩を本地とし、法衣と法冠を身に着けた菩提円満相で表される。
1804
藤原行秀 写
「十王寫(じゅうおううつし)」より
国立国会図書館蔵
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「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v03p025
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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十王(十王經之說)の一尊(第三)として
Xiàng-liŭ
中国神話の中で、伝説上の帝王、堯が天帝だった時代に地上を荒らし回ったとされる九頭の巨大な蛇。地理書「山海経」の海外北経によれば9個の人間の頭を持つとされる。この怪物は英雄の禹が地上の洪水を治めたあとに出現し、9個の頭であらゆるものを食い尽くした。しかも相柳が進んだあとは毒のある水が溢れた沼沢地と変わり、どんな生き物も住めなくなったという。禹は人々のためにこの怪物を退治したが、怪物の血が流れた土地には何も育たず、人も住むことが出来なかったという。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v03p017
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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共工之臣曰相柳氏〔共工覇九州者〕 九首以食于九山〔頭各自食一山之物言食暴難餐〕 相柳之所抵厥爲澤谿〔抵觸厥掘也音橛〕 禹殺相柳 其血腥 不可以樹五穀種 禹厥之 三仞三沮〔掘塞之而上三沮滔言其血膏浸潤壌地〕 乃以爲衆帝之臺〔言地潤濕唯可積土以爲臺觀〕 在昆侖之北〔此崑崙山在海外者〕 柔利之東 相柳者 九首人面 蛇身而靑 不敢北射 畏共工之臺 臺在其東 臺四方 隅有一蛇 虎色 首衝南方〔衝猶向也〕
「唐土訓蒙圖彙(もろこしきんもうずい)」(1802)より
ページ:v02p047
平住専庵著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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※誤字により柳を抑としている。
Sè-màn
中国の少数民族、阿昌(アチャン)族の戸撤地区における塞の神。各村ごとに村はずれの高い木の上に必ずいて、悪鬼が村に侵入するのをふせぎ、村を守護しているという。また村の人間、家畜、農作物の繁栄や豊穣も守ってくれるという。
Sekar, Sokar
エジプトにおいて死や冥界と関連する神の一人でハヤブサの神。「ソカル」とも、また「セケル(skr)」とも呼ばれる。通常の人間の姿か、或いは隼の頭を持った男性の姿で描かれる。頭上には牡牛の角の上にアテフ冠をつけている。葬祭の神でありまた地下世界(ケトニアン)の神ともされる。このために冥界神オシリスと同一視されることも多い。ソカリスは死者の保護する役割を担っており、特に死んだ王に清めをする「開口」の儀式を行って、再び五感が働くようにしてくれるという。古い神であるため親が誰なのかなどの素性ははっきりせず、本来伴侶もいなかったが、後にソカレトというソカリスの女性形を伴侶とするようになった。また新王国以降になるとオシリスの妹ネフティスが妻とされるようになった。
ソカリスの信仰の中心はメンフィスのネクロポリス(墓地)であるロ=セタウなので、「ロ=セタウの住人」と呼ばれることもある。このためメンフィスの名工の神であるプターと同一視されることもあった。地下世界にあるソカリスの領域ではネヘブカウが待ち構えており、罪を宣告された人の魂を貪り食っている。そこは砂漠のような不毛の土地で洞窟があるという。
Soqed Hozi
Xī-răng
「息壤」とも書く。また「息土(そくど/Xī-tǔ])」とも呼ばれる。絶えず増殖し続けるという不思議な土、ないし土のような怪物。語義は「息づく土壌」といったもの。中国最古の地理書とされる「山海経」の「海内経」に拠れば、黄帝の孫であった「鯀(こん/Gǔn)」が大規模な洪水を治水する命を負ったが、帝の許可を得ずに帝の所有していた息壌を盗んだため、帝命により祝融によって殺されたという。「淮南子」には「禹は息土をもって洪水を填めた」とあり、鯀の息子とされる禹がしたことになっている。海内経に付注した郭璞によれば、漢の元帝の時代(前48年〜前33年在位)に臨淮徐県で長さ六里、高さ一丈に渡って「大地が踊った」ことがあり、息壌もこの類ではないかと論じている。
Zú-zī
中国の最古の地理書とされる「山海経」北山経首経に記されている奇妙な生物。北山の蔓聯山に棲み、全体として猿のような姿の獣だが鬣(たてがみ)がある獣で、前脚には模様があり牛の尾、馬の蹄を持つという。人を見ると叫び、自分の名で(つまり「足訾」と)鳴くとされる。蔓聯山にはほかに「鵁(こう/Jiāo)」という食べると中風を癒すという鳥も棲んでいるとされる。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v02p005
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain
Chŭ-jiāng wáng
そこつつのおのみこと
そこつわたつみのかみ
Socodiah
Socohiah
Susiddhikara
仏教において菩薩の一尊。サンスクリット名を「スシッディカラ(Susiddhikara)」といい、「不思議な成功」を意味する。これを音写して「蘇悉地羯羅菩薩」、「蘇悉地伽羅菩薩(そしつじきゃらぼさつ)」と呼ばれるほか、「妙成就(みょうじょうじゅ)」と訳される。精進や明王、除障、勇猛、真言といった全ての法の成就を司る仏尊とされる。胎蔵界曼荼羅虚空蔵院の左側(南方)、下段第四位に配される。その像容は極忿怒相の六臂像で、右手に三鈷杵、剣、左手に金輪、独鈷を持ち、残りの左右の手で三昧耶契を結ぶ。
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 地之巻」より
国立国会図書館蔵
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胎蔵界曼荼羅虚空蔵院における図像。
Jū-rú
中国において最古の地理書とされる「山海経」の中山経に言及される、凶兆とされる獣の一つ。倚帝山という山にいて、白い耳、白い口先をもつ鼣鼠(はいそ=不詳)のような姿の獣だという。この獣が現れた国は大戦に見舞われるとされる。
「山海經(せんがいきょう)」(不明)より
ページ:v02p074
郭璞(伝)著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain
Sothis
そでひきこぞう
埼玉県の川越市付近に出現するとされる臆病神の一種。姿はわからない。夕方日が傾きかけた道を一人で歩いていると不意に後から誰かが袖を引いて来る。誰もいないので、みな最初は気のせいかと思う。ところが歩き出すとまた誰かがまた誰かが袖を引いてくるので、振り返ってみるがやはり誰もいない。こんなことが何度もあって、何度も振り返ってみても誰もいないので、そのうち恐ろしくなってみな走って逃げ出してしまう。これは袖引き小僧の仕業だという。
Sotheraiel
旧約聖書偽典「第3エノク書(ヘブライ語エノク書)」に言及される天使。名前は「誰が神の御霊をかき立てるのか」を意味する。「ソテル(Sother)」、「ソテル・アシエル(Sother Asiel, Sother Ashiel)」、「ソテル・アシエルH(Sother 'Ashiel H')」、「ソテラシエル・ヤハウェ(Soterasiel YHVH)」などの名前でも呼ばれる。審判の座において神の裁きを執行する天使であり、第7天の支配天使とされる。その背丈は7000パラサング(約3万9000km)もあり、全ての天使の君主は彼の許可なしでシェキナ(神の栄光)の前に出入りすることは許されない。第3エノク書においてソテラシエルはアナフィエルにひれ伏され、ソクェド・ホジにひれ伏す立場の天使として描かれる。
Stūpamahāśrī
菩薩の一尊。サンスクリット名を「ストゥーパマハーシュリー(Stūpamahāśrī)」あるいは「アーリヤストゥーパマハーシュリー(Āryastūpamahāśrī)」といい、窣堵波大吉祥菩薩、「薩埵波大吉祥(さったばだいきちじょう)」、「戴塔吉祥菩薩(たいとうきちじょうぼさつ)」、「帯塔徳菩薩(たいとうとくぼさつ)」などと漢訳する。「窣堵波=ストゥーパ」とは塔(舎利塔)のことで衆生の五大すなわち肉身を指し、窣堵波大吉祥菩薩は一切衆生の生死の間において得られる自在楽を象徴する仏尊とされる。胎蔵界曼荼羅の観音院(蓮華部院)の第二列(中列)東方(上方)より第二位に列される。その像容は身色白色で左右の手に開敷蓮華を持ちまた前に各々華を持った蓮華使者を3人侍する姿で表される。
密号は「利益金剛(りやくこんごう)」ないし「利楽金剛(りらくこんごう)」、種字は「स(sa)」、三昧耶形は開敷蓮華。
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 地之巻」より
国立国会図書館蔵
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そないひこのみこと
Subāhu
仏教における菩薩の一尊。サンスクリット名を「スヴァーフ(Subāhu)="見事な腕"の意」といい、蘇婆胡菩薩のほか「蘇婆呼菩薩(そばこぼさつ)」、「蘇波胡菩薩(そばこぼさつ)」とも記す。また意味訳から「妙臂菩薩(みょうひぼさつ)」とも呼ばれる。虚空蔵菩薩の吉祥の徳を司る仏尊とされ、胎蔵界曼荼羅虚空蔵院の南方(右側)下段第二位(中央虚空蔵菩薩から数えて右に2番目)に配される。像容は肉色の身色で左手に独鈷杵ないし青蓮の乗った蓮を持ち、右手は施無畏印を結び青蓮華に坐す。また蘇婆呼童子教では童子形で表され「蘇婆呼童子(そばこどうじ)」と呼ばれる。
密号は「悉地金剛(しっちこんごう)」、種字は「हूं(hūṃ)」ないし「सु(su)」、三昧耶形は蓮上青蓮華索ないし蓮上獨鈷杵。
「大正新脩大藏經図像部 第1巻」
「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より
大蔵出版
©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0)
胎蔵界曼荼羅虚空蔵院における図像。
Zophas
テュアナのアポロニウス(Apollonius of Tyana)が著したとされる「ヌクテメロン(Nuctemeron)」中の「魔術的黄道十二宮に類似する十二の象徴的な時間」を支配する守護霊(Genius)、いわゆる「時間の鬼神」の一人。11時の霊の一人でペンタクル(五芒星)を司る。
Sophiel
マグレガー・メイザース(Samuel Liddell MacGregor Mathers)の「ソロモンの大きな鍵(The Key of Solomon The King)」において「ヤヘル(Yahel)」とともに月の第4のペンタクルに記される天使。ハーブや鉱石が秘めている力について知識を与えてくれるとされる。
Zophiel
Sopheriel Mehayye
旧約聖書偽典「第3エノク書(ヘブライ語エノク書)」や「ゾハル」において言及される天使。「ソフェリエル・ヤハウェ・メハイイェ(Sopheriel Yhwh Mehayye)」とも呼ばれる。またソフェリエル・メメトと区別せずに「ソフェル(Sopher)」、「ソフリエル(Sofriel)」などの名でも呼ばれる。メルカバの8人いる偉大な天使長の一人とされる。ソフェリエル・メメトとともに生者と死者を記録する名を任じられた天使の帳簿係であり、2人は「神の名(YHWH→ヤーウェ)の運び手」とされる。
Sopheriel Memeth
旧約聖書偽典「第3エノク書(ヘブライ語エノク書)」や「ゾハル」において言及される天使。「ソフェリエル・ヤハウェ・メミト(Sopheriel Yhwh Memith)」とも呼ばれる。またソフェリエル・メハイイェと区別せずに「ソフェル(Sopher)」、「ソフリエル(Sofriel)」などの名でも呼ばれる。メルカバの8人いる偉大な天使長の一人とされ、ソフェリエル・メハイイェとともに生者と死者を記録する名を任じられた天使の帳簿係であり、2人は「神の名(YHWH→ヤーウェ)の運び手」とされる。
Sofriel
Soped
そほりのかみ
Soma
ヒンドゥー神話における酒神。名前は「搾る」という意味の動詞に由来し、もとは特殊な植物の名(蘇摩)であったものが、この植物から作った新酒もソーマと呼ばれ、ヴェーダ祭祀の最も主要な供物であり、やがてこれが神格化された。神酒であるソーマはおそらく灌木の木を圧搾浄化して造った芳香のある黄褐色の液体であったらしい。植物の長としてその光輝をたたえられ、太陽はソーマの顕現と称される。地上の祭場におけるソーマ圧搾浄化の儀式はそのまま天上の宇宙現象を象徴し、浄化の過程で木槽に点滴となって落ちるソーマの滴りは降雨、液の流れる音は雷の響きである。このような象徴的儀式としてのソーマ祭は後世の祭式文献においてきわめて重要な祭祀とされ、その次第の細則が規定されている。ソーマの賛歌は「リグ・ヴェーダ」の第9巻を独占している。ブラーフマナおよびその以後の神話では月神チャンドラと同一視されるようになった。
Somnus
ローマにおける眠りの神。ギリシアのヒュプノスに相当する。
Sól
北欧神話における女神で、太陽の馭者であり、ときに太陽そのものと同一視される。神族の出身であるかは疑わしいが、神話においては女神の一柱として名を連ねている。天体の運行が人格化された「ムンディルファリ(Mundilfari)」という男の娘で、「マーニ(Máni)」という名前の兄がいる。二人は美しかったのでそれぞれマーニ(月)、ソール(太陽)と名づけられた。神々はムンディルファリの傲慢さを怒り、二人をさらって本物の月と太陽を引く車の馭者をやらせた。終末ではスコルとハティという狼の魔物に月と太陽ごと飲み込まれるという。
Sol
ローマにおける太陽神。ギリシアのヘリオスに相当する。8月9日、12月11日に祭礼がある。
Throne
ユダヤ教・キリスト教における天使の9階級のうちの第3階級。「オファニム(オファン)」とも呼ばれる。複数形で「トロウンズ(Thrones)」、日本では「座天使」と訳される。「ガルガリン(車輪、瞳の意)」とも呼ばれる。「神の玉座を運ぶ尊厳と正義の天使」、「意思の支配者」とされる。「火車」をシンボルとするが、彼ら自体もまた緑柱石のような色で輝き、炎と燃え多くの眼を持つ車輪の姿をしているともされる。「旧約聖書」中の「エゼキセル書」においてはケルブと混同した記述がされているが、ケルブに付き従う足元にある車輪がソロネだと考えられる。
セラフ、ケルブ、ソロネの上級三階級の役目は非常に似通っており、並んで記述されることが多かった。後世の神学者たちはケルブは神の玉座を運ぶ者達、ソロネは戦車などの実戦おいて活躍する者達と分けて分類した。ソロネの指揮官はヤフキエル(Japhkiel)、あるいはラファエルとされている。
Dzolob
マヤにおける今ではない世界における民。語義は「ならず者」ないし「犯罪者」。マヤの創世神話では世界は今まで4回洪水で崩壊しており、現在の世界は第五の世界だとされるが、ゾロブは第2の世界に生きていた民とされる。
Spirits of Solomon
悪魔学、神秘学においてソロモン王に封印され使役されたとされる魔神たちの総称。通常「レメゲトン」と呼ばれる魔術書(グリモア)に連ねられた72柱の魔神を指す。この「レメゲトン」はソロモン王が著したとまことしやかに伝えられる「ソロモン文献」の一つである。しかし「レメゲトン」自体は先行する魔術書の寄せ集めであり、諸版で記載される名前が異なるために「"ソロモンの霊"」を列記すると72柱以上になる。"ソロモンの霊"は「エノクのデーモン」と呼ばれる魔神達のリストとかなりの部分で共通する。このエノクのデーモンは「エノク書の流れを汲む」と謳われる「偽エノク文献」における魔神のリストである。
Śumbha
仏教における菩薩ないし明王の一尊。サンスクリット名を「シュンバ(Śumbha)」といい、音写で「孫婆菩薩」と称する。「シュンバ」とはインド神話においてアスラに属する者の名称。この音写により「孫婆菩薩」、「孫婆明王(そんばみょうおう)」、「送婆大忿怒明王(そうばだいふんぬみょうおう)」、「素婆明王(そばみょうおう)」といい、降三世明王と同体とされ十忿怒明王に数えられるが降三世明王と像容は一致しない。胎蔵界曼荼羅の金剛手院で金剛拳菩薩の脇侍として左下に配される。種字は「गृ(gṛ)」。
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 地之巻」より
国立国会図書館蔵
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胎蔵界曼荼羅金剛手院における図像。肉色の身色で天衣を身に着け、左手は牙印、右手は独鈷杵を持ち蓮華に坐す。
Zombie
西インド諸島において、ヴードゥー教の「ボコール」と呼ばれる呪術師ないし黒魔術師が、魔術的な方法で蘇らせた死体のこと。重罪を犯した人間は刑罰としてゾンビにされ、無償で農場などで働かされる。ボコールの支配下にあるので口は利けずまた意識も持たないし、痛みも感じない。腐ったりもせず、人を襲ったりもしない。昼は墓の中にいて働くのは夜だが、暗闇でもものが見えるという。罪人をゾンビ化させる術はヴードゥー教社会における極刑であり、猛毒テトロドトキシンを含む白い粉末状の魔薬を罪人のよく通る場所に撒いたり、皮膚に直接刷り込んだりする。テトロドキシンは急速な新陳代謝の低下、つまり麻痺を起こさせるので成功すれば罪人は仮死状態になり、死んだものとして埋葬される。ボコールはこれを薬と呪術を用いて復活させて労働に従事させるという。