竈君そうくん
Zaojun
中国道教における竈の神。少なくとも紀元前2世紀にはすでに信仰されており、また現在でも中国を始めとする東南アジアの広い地域で信仰されている。竈君の神像は台所にかまどの上に掲げられるいて、新年には「糖餅(タンピン)」と呼ばれる砂糖菓子や肉、果物、酒が捧げられ、唇には麦芽飴が塗られる。麦芽飴を塗るのは、竈君が竈の神であるという以上に玉皇大帝にそれぞれの家の家族一人一人の行いを報告する神として重要視されているためであり、つまり報告の時に竈君に「甘く」述べてもらえるだろう、という俗信からきている。竈君の神像は新年になる度に焼かれるが、これは竈君は天に昇るのを助けるためである。
ある伝承によれば、竈君は元々「張郎」という男だった。自分の妻を捨て若い女に走ったひどい男だったが、すぐに女には逃げられてしまい、しかも眼まで見えなくなってしまった。乞食になるしかなかった彼は家々を回っては物乞いしていた。そのうち、彼はそれとは気づかず昔に妻だった女性の家で物乞いをし、妻は彼の大好物を食べさせてやった。これが手がかりとなって彼は赤の他人だとばかり思っていた相手が昔の妻だと気づき、妻に自分の身の上を打ち明けた。すると妻に眼を開けるように彼に言った。彼がその言葉に従うと、目はまた見えるようになっていた。しかし、彼は過去の自分の振舞いをあまりにも恥ずかしく思い、炉に飛び込んで焼け死んだ。昔妻だった女性はかろうじて、男の足だけを救い出すことが出来た。こうして火掻き棒のことを「張郎(蟑螂=ゴキブリ)の足」と呼ぶようになったと言う(張郎もゴキブリも「Zhāng-láng」と発音する)。
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