へ行

瓶宮べいぐう

Kumbha

密教の宿曜道における十二宮の一つ。サンスクリット名を「クンバ(Kumbha)」といい、壺や瓶を意味することから瓶宮と訳すほか、「賢瓶宮(けんべいぐう)」、「天瓶宮(てんびんぐう)」、「宝瓶宮(ほうびょうぐう)」、「水器神主(すいきじんしゅ)」とも呼ばれる。また音から「鳩槃(くはん)」とも呼ばれる。西洋占星術における水瓶座にあたり、期間としては立春から雨水に至るまで(1月から2月にかけて)を指す。また二十七宿の虚宿危宿室宿にあたる。勝彊(勝つことと強いこと)を司るとされ、胎蔵界曼荼羅では南方(右側)に瓶の形で描かれる。

種字は「कु(ku)」、真言は「唵鳩槃波多曳莎呵(おんくはんはたえいそわか)」。

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ヘイグロト

Heiglot

テュアナのアポロニウス(Apollonius of Tyana)が著したとされる「ヌクテメロン(Nuctemeron)」中の「魔術的黄道十二宮に類似する十二の象徴的な時間」を支配する守護霊(Genius)、いわゆる「時間の鬼神」の一人。1時の霊の一人で吹雪を司る。

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ベイド

Beydo

南部サポテカの神。名前は「種」ないし「風」を意味する。南部サポテカの9つある暦日の4番目(中部サポテカのアチェに相当)で、聖なるもの、自然の力を備えたものと関連視される。

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獙獙へいへい

Bì-bì

中国最古の地理書とされる「山海経」の東山経に記されている、凶兆とされる生物。姑逢山という山に棲息している、翼のある狐のような獣のことで、この獣は白鳥か雁のような声で鳴くという。この獣が現われると大旱魃が起こるとされる。

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屏蓬へいほう

Píng péng

中国最古の地理書とされる「山海経」の大荒西経の項に記される獣。左右に首がある、つまり双頭獣だとされる。郭璞の注では并封と同体とされているが、蒋應鎬の図によれば并封は体の前後に頭がついており、屏蓬とは異なる姿で描かれている。

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并封へいほう

Bìng-fēng

中国の古代の地理書「山海経」の海外西経に記されている奇妙な生物。全体としては黒い体色の彘(いのこ)のようだが、前後いずれにも頭が付いているという。

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ヘイムダル

Heimdallr, Heimdall, Heimdalr

北欧における神。ヴァン神族かアサ神族かははっきりしない。オーディンが父だとされることもある。また9人の母親から生まれたとされ、母親達は波の化身である海の娘の姉妹達だといわれている。歯が純金でできているために「黄金の歯をした者」という異名を持つ。「白きアース」とも呼ばれ、古代北欧では剣のことを「ヘイムダルの頭」と表現した為、鋭い角を生やした牡羊が神格化した存在だと考えられる。北欧神話における人間の始祖リーグと同一視され、奴隷と農民、そして士族の父となった。昼夜に関わらず遥か遠くまで見える鋭い視力と、草や羊の毛が伸びる音を聞き取れる耳、そしてその巨体を見込まれ、アサ神族の世界(アスガルズ)の入り口にかかっているビフレストという虹の橋で見張り番をしている。またギャルラールホルンという名の角笛を持ち、ヨツン(巨人)族がアスガルズに攻め込んできたときなどはこの角笛を吹いて神々を決戦に呼び立てるという。ラグナロク(終末戦争)においては巨人族に寝返ったアース神ロキと戦い、相討ちになるという。

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薛茘多へいれいた

Preta

別亜ベェヤ

Bié-yà

中国の少数民族、鄂倫春(オロチョン)族における月の神。闇夜を照らすだけでなく、そのことによって狩猟を守護し、獲物を取れるようにしてくれる狩猟の守護神でもある。鄂倫春族では月食や日食は黄色い犬が月や太陽を食べることによって起こると説明される。

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べか太郎

べかたろう

日本の妖怪の一種。「べくわ太郎」と書かれる場合もある。「百鬼夜行絵巻」などに描かれる妖怪の一種で、大きな頭で小さい体の人間の男性の姿をしており、両目の下目蓋を指で下げて「あかんべー」をした状態で描かれている。

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ペカラ

Pecala

山岳サポテカにおける愛の神。「ピシェー・ペカラ」とも呼ばれる。

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壁宿へきしゅく

Uttarabhadrapadā

密教の宿曜道において二十八宿及び二十七宿の一つ。インドでは「ウッタラバドラパダー(Uttarabhadrapadā)」といい、ウッタラは「次の」、バドラは「祝福された」、パダは「足」を意味する。漢訳で壁宿、「北賢迹宿(ほくけんしゃくしゅく)」、「百辞天(ひゃくじてん)」、「後跋達羅鉢柁(ごばだらはだ)」、「烏多羅跛陀羅跛(うたらばだらば)」と音写する。また日本では「壁(なまめぼし)」の和名を当てる。胎蔵界曼荼羅では北方(左側)に配され、像容は右手に赤珠の乗った蓮を持つ。

種字は「श(śa)」、「रो(ro)」、真言は「唵欝多羅跋陀羅跛莎呵(おんうったらばだらばそわか)」、三昧耶形は蓮上星。

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ベクツェ

Beg tse, Bektsé

チベット仏教においてインド仏教にはない独自の仏尊であり、怒りの執行者「ダクシェ」の一尊。「姉妹」を意味する「チャムシン(lCam sring, Chamsing)」の名で呼ばれることもある。この名で呼ばれるのは「ドンマルマ(gDong dmar ma, dongmarma)」という名の妹の尊格を持つからで、ベクツェ自身は男性の尊格と考えられている。

ベクツェはダライラマ三世(1543-1588)が内モンゴルに招聘されたとき、布教を妨害しようとして調伏され、仏教の護法神となったとされている。このため「ベクツェ」という名前も「鎖帷子を着た」というモンゴル語が起源だと考えられている。名前の通り鎖帷子を着た赤い身色の忿怒相で、一面二臂ないし一面一臂、右手で炎を伴った銅剣を振り上げ、右腕で弓矢と長槍を抱きながら仏敵の心臓を持ち口で啜る姿で表される。また脇侍として前述のドンマルマを左に、眷属の「ソクダク・マルポ(Srog bdag dmar po, Sokdakmarpo)」を右に、さらに下部ないし周囲には「ティトクセンパギェ(gRi thogs bzan pa brgyad, Dritokzenpagyé)=刀を持った八人の屠殺者」と呼ばれる眷属が描かれる。

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ペグ・パウラー

Peg Powler

イングランド北部を流れるティーズ川に棲むと伝わる邪悪な川の女の妖精。「ペグ・プロウラー(Peg Prowler)」とも呼ばれる。緑の長い髪と大きな口、緑の歯を持つ醜い老婆の姿をしている。川に無用心に近づく人間を水中に引きずりこみ、川の中にある自分の住処へと連れて行って食べしまうとされる。ティーズ川上流に生じる泡や、緩やかな流れの場所に生じる緑色の膜はそれぞれ「ペグ・パウラーの石鹸泡(Peg Powler's suds)」、「ペグ・パウラーのクリーム(Peg Powler's cream)」などと呼ばれ、ペグ・パウラーが実在する証拠とされる。

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ヘケト

Heket

エジプトにおいて生命活動を司る蛙の女神で"レーの娘"の一人。「ヘカト(Heqat)」とも呼ばれる。夫はクヌムないしトト。ヘルモポリスの創世神話では原初の渾沌ヌンの中に4匹の蛇と4匹の蛙がいたとされるが、ヘケトはこの原初の蛙と同一視される。ヘケトは神話の中で再生や復活、妊娠といった生命活動が関わるシーンに多く登場する。例えばクヌムが泥から人形を作った時、それに生命を与えて人間にしたのは彼女だったとされる。またオシリスセトによって殺された時、オシリスの復活を手伝ったり、イシスの胎内にホルスを身篭らせたりしたのもヘケトである(このことからホルスの事実上の母親とされることもある)。蛙そのもの、或いは蛙の頭部を持ち両手にそれぞれアンクを携えた女性の姿で描かれる。

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ペケカムイ

アイヌにおいて善い存在のカムイの総称。これに対して悪い存在のカムイはニッネカムイと総称される。

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辺疎神

へざかるのかみ

古事記に見える神。黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命が、身を清めようと禊をした時に化生した神の一人で、伊邪那岐命が投げ捨てた右手の腕輪から生まれ出でたという神。名前の「ヘ」は「海辺」、「サカル」は「離(さか)る=遠ざかる」を意味し、総じて「岸へと返す波」を象徴する神だと考えられ、奥疎神と対になっている。

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ヘジュウル

Hedj-wer

「ヘジ=ウェル」とも。エジプトにおいて王族達の祖神と考えられた神。初期王朝時代(B.C.3100~B.C.2686)に信仰された。王の先祖達の化身であり、神々の代弁者とされたヘジュウルは、日の出や日の入の際に太陽を称えたり、星々を輝かせるために冥界の門を開けたりといった天体の運行を管理する役目を担っていた。このため月とも関連視され、トトと密接に結び付けられた。ヘジュウルは月の円盤が乗った舟の形をした胸飾りを付けた白いヒヒの姿で表される。

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ヘズ

Hǫðr

あるいは「ホズ」。北欧におけるアサ神族の一人。オーディンが父。「バルドルの子」と呼称されることから、母親はオーディンの正妻であるフリッグであると思われる。力が強いが盲目の神で、その理由は神話では語られていない。ロキの謀略によって知らずに兄バルドルを殺害してしまった為、邪悪な性質の神ではないものの、「忌むべきアース」と呼ばれる。オーディンとリンドの間に生まれたヴァーリの手にかかり殺される。ラグナロク(終末戦争)を迎え、現在の世界が滅びたあと、ヘズはバルドルとともに死者の国から帰還して、新たな世界の神になるといわれている。

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ベス

Bs

エジプトにおける民の神。エジプトに存在する多く神がファラオや貴族によって信仰されたのに対し、ベスは民間信仰から発祥したと考えられる低位の神であり、悪霊や蛇などから人を守ってくれるとされた。外見的にもエジプトの普通の神のように均整のとれた長身ではなく、三、四頭身ほどの頭でっかちのシルエットで、顔はしわだらけで巻き毛のひげに覆われ、目はぎょろ目、脚は彎曲し短く、裸でライオンの毛皮を背負う。民衆を守護する神であり、魔除けとして多くの日常品にベスの姿が彫刻された。彼の持つ二台のリード(楽器)から奏でられる騒々しい音は悪魔を追い払うという。民衆の信仰を一手に担ったベスの加護は多岐に渡った。彼は元々戦いを司る神でもあったが、ハトホルと結びつき歓喜や愛を司り、ミンタウエレトと結びつき生殖や出産を司り、また酩酊の神ともされた。ベスは固有の神殿を持たなかったが、末期王朝時代には「ベスの部屋」と呼ばれる回春・性欲増強を祈る施設が作られるようになった。またローマ支配時代には軍装をまとった軍神として扱われるようになった。

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ベストラ

Bestla

北欧神話における太古の女巨人。「ベスティア」とも呼ばれる。原初の巨人ユミルの娘とされる(ボルソルンという巨人の娘だとする文献もある)。ミミルとは姉妹で、ブーリの息子ボルと結婚した。二人はアサ神族の最初の3人となるオーディンヴィリヴェーをもうけた。

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ベダワン

Bedawang

バリ島神話における世界亀。宇宙蛇であるアンタボガの瞑想によって創造された。ベダワンの上には2匹の蛇と、地下世界を蓋のようにふさぐ「黒い石」が乗っており、この地下世界を治めるのが、バタラ・カラステスヤラである。

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ベ・チャスティ

Be Chasti

ネイティブアメリカン、ホワイトマウンテンアパッチ族における恐ろしい巨人。「メタルオールドマン」と称されるようにほぼ全身を黒曜石の鎧で固めた巨人だったが、英雄によって唯一鎧から露出している目を矢で射られて死んだという。

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辺津甲斐弁羅神

へつかいべらのかみ

古事記に見える神。黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命が、身を清めようと禊をした時に化生した神の一人で、伊邪那岐命が投げ捨てた右手の腕輪から生まれ出でたという神。「カイベラ」の意味は不詳だが、「海岸と沖の間」のことだと推測され、総じてこの神は「海岸と沖の間の海辺側の波」を象徴する神だと考えられる。

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俾都久辰為命

へつくしいのみこと

「出雲国風土記」に見える神。高志国の神である意支都久辰為命の子神であり、「大国主神=所造天下大神(あめのしたつくらししおほかみ)」の数多い妃神の一人とされる「奴奈宜波比売命(ぬながわひめのみこと→沼河比売)」の親。親子関係と神名のみの言及であり、神格は明らかでない。名前は親神である意支都久辰為命と対比関係(「オキツ=沖津」に対する「ヘツ=辺津」)になっており、「奇し井(くしゐ)」とみて井戸の神、あるいは「高志居(こしゐ)」の転訛で高志の神であることを指すと考えられる。

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辺津那芸佐毘古神

へつなぎさびこのかみ

古事記に見える神。黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命が、身を清めようと禊をした時に化生した神の一人で、伊邪那岐命が投げ捨てた右手の腕輪から生まれ出でたという神。名前の「へツ」は「海辺の」、「ナギサ」は「渚」、「ヒコ」は「彦(男)」を意味し、総じて奥津那芸佐毘古神と対の神であり、「渚の海辺側」を象徴する男神だと考えられる。

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𪁺𩿧へつふ

Shàng-fù

中国の古代の地理書「山海経」の南山経に言及される怪鳥。基山という場所に棲んでおり、全体として鶏のようだが頭が三つ、足が六本、翼が三つあるという。𪁺𩿧 を食べると眠らなくてもよくなるとされる。

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べとべとさん

日本の奈良県宇陀郡に伝わる妖怪。夜道を歩いていると、自分の足音に合わせて後ろから誰かがついてくるような気味悪い音が聞こえる。道脇に寄って「べとべとさん先にお越し」と言って道を譲ると足音は消えるという。

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ベドン・ヴァーラ

Ben Varrey

マン島の民間伝承に伝わる人魚。金髪の美しい人魚で、漁師を魅了し悲運に巻き込むとされるが、時に(人間に命を助けられたときなどは)好意的でもあるとされている。

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ペナテス

Penates

ローマにおいて、食品を入れる戸棚(ペヌス)の二人一組の神。昔から家庭において信仰が厚かった。後にローマにとって非常に重要な神となり、ローマの中央広場にあるヴェスタ神殿に祀られ、全国家の守護神と考えられるようになった。ヴェスタのほかにラレスとも密接に結び付けられた。「ペナテスはトロイアでも家庭の守護神として崇められていた」とローマ人は考えていて、トロイア戦争末期に英雄アイネイアスが燃え盛るトロイアからペナテス神の神像を両腕に抱えて運び出し、ラティニウム(ローマの前身にあたる都市)の神殿に納めたとされる。つまりローマ人はペナテス神を「ローマがトロイアの子孫である」証拠と考えていた。

ローマの守護神となったペナテス神は槍を携えて座っている二人の戦士像としてあらわされた。同じように二人一組の神であるギリシアのディオスクロイや、プリュギアの古い神で後にギリシアに取り入れられたカベイロスと同一視された。

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ヘーニル

Henir, Hœnir

北欧神話において人間の創造に携わった神。アサ神族だと考えられている。しかし、古代北欧において崇拝されていた神ではないらしく、神話の中でも信奉すべき神々の序列には名を連ねていない。足が長く姿は美しいが器量に乏しい神だといわれている。オーディンの随行者として知られ、ロキとともにしばしばオーディンの旅に同行しているが、大きな働きはしていない。最初の人間であるアスクとエムブラが、それぞれトネリコとニレの木から作られたとき、オーディンが息を吹き込み、ヘーニルが心を授け、ロドウルが体温と姿形を与えたという。

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ペネムエ

Penemue

旧約聖書外典「第1エノク書」においてアザゼルシェミハザなどの天使と共に人間の娘と結婚し知識を与えるという大罪を犯したグリゴリの一員。「ペネメ(Peneme)」とも呼ばれる。堕天する前は子供たちを守護する役目を担っていた。人間に紙とインクの製造方法と筆記法を教えたとされている。また人間の子供たちに苦さと甘さ、そして知恵の秘密を教えたのもペネムエだとされる。

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ベネラバ

Banelaba

南部サポテカのコアトランにおいて特別視された神。「ピララパ・カァチェ」とも呼ばれる。「レラシオン(土着の歴史書)」によれば、妻であるジョナジ・ベラチナと共にサポテカの統治者がミシュテカ族を訪ねた時にもたらされた神だとされる。このとき、動物と人間を生贄にする儀礼もコアトランにもたらされた。ベネラバは太陽と戦いの神であり、男性のみが崇拝し、犬や七面鳥、ウズラ、男の戦争捕虜などが生贄に捧げられた。ジョナジ・ベラチナは死と地下世界の神であり、女性のみが崇拝し、同様の生贄が捧げられた。ベネラバの別名である「ピララパ・カァチェ(Pilalapa Caache)」は「七羽の兎」を意味している。

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ヘパト

Hepat

フリ人の神話体系、及びヒッタイト神話において天界の女王と称される女神。「ヘバト(Hebat)」、「ヘピト(Hepit)」の名でも呼ばれる。テシュブの配偶神であり、テシュブと同格の力を持つとされる。ウルリクムミによって夫が「神々の王」の座を追われた時、ヘパトは嫌悪のあまり危うく塔の屋根から落ちそうになったという。ヒッタイトに取り込まれたヘパトはアリンナと同一視されることが多い(アリンナもテシュブの妻とされることがある)。王座に座った姿、あるいはヘパトの聖なる動物であるライオンの上に立った姿で表されることが多い。テシュブとの間に「人間の2本の足」を象徴するというシャルマという息子を産んでいる。

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ペハル

Pe har, Pehar

チベット仏教における独自のチョキョン(=護法神=ダルマパーラ)の一種。「ペハル・ギェルポ(Pe har rgyal po, Pehar gyelpo)」とも呼ばれる。吐蕃王国の5代王であるティソンデツェンがサムイェー寺を建立した時、寺の守護のためにチベット密教の祖パドマサンバヴァがバタホルから勧請した神とされる。ペハルに関する聖遺物がサムイェー寺にある「ペハル院」に収められているが、この建物は本来はサムイェー寺の宝物庫であったため、ペハルも本来は宝物の守護神として勧請されたのではないかと考えられている。デープン寺の守護神である「ネーチュン(gNas chung, Nechung)」はペハルと同体、あるいはペハルの眷属ないし化身とされる「ドルジェ・タクデン(rDo rje grags ldan, Dorjé drakden)」と同体とされる。

ペハルは「クンガ・ギェルポ(sKu lnga rgyal po, Kunga gyelpo)="五体の王"の意」(この語は五智如来の訳語としても使われる)と呼ばれる5兄弟の末弟で兄弟の中で最も力が強いとされ、タンカにはペハルを本尊として兄弟を伴って描かれることが多い。5兄弟はそれぞれニンマ派に伝わる身、口、意、業、徳に対応する。本尊であるペハルは「ティンレー・ギェルポ('Phrin las gyi rgyal po, Trinlégi gyelpo)="業の王"の意」と呼ばれ、丸い帽子をかぶり白に肩掛けと豹皮の腰布をまとい、白、赤、青の三面を持つ六臂の白獅子に乗った姿で、右手には鉄鉤、矢、剣を、左手には曲刀、弓、杖を持ち、矢をつがえ引き絞った姿で描かれる。残りの4兄弟は白象に乗り青色の身色の「ギャチン(brGya byin, Gyajin)=帝釈天」ないし「トゥクキ・ギェルポ(Thugs kyi rgyal po, Tukkyi gyelpo)="意の王"の意」、白色の牝獅子に乗り黒色の身色の「モンブプトラ(Mon bu pu tra, Mönbu putra)="野蛮な部族の者"の意」ないし「クイ・ギェルポ(sKu'i rgyal po, kügyelpo)="身の王"の意」、黒馬に黒色の身色の「シンシャチェン(Shing bya can, Shingjachen)=」ないし「ユンテンギ・ギェルポ(Yon tan gyi rgyal po, Yöntengi gyelpo)="徳の王"の意」、黒いラバに乗り赤色の身色の「スンギ・ギェルポ(gSung gi rgyal po, Sungi gyelpo)="口の王"の意」で、四隅に描かれる。

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ベヒーモス

behemoth

もしくは「ベヘモス」ないし「ベヘモト」。「ベヘミロン(Behemiron)」とも呼ばれる。旧約聖書に登場する巨大な怪物で、創造の5日目に女性のレヴィアタンリヴァイアサンとともに創られた男性の怪物とされる。審判の日にはリヴァイアサンと殺し合い、両者の肉体はともに救世主の祝宴に供されることになるという。原初の海の天使ラハブとも関連視される。旧約聖書外典「第1エノク書」では、「デンダイン(Dendayn)」と呼ばれる砂漠にいるとされる。鯨、ワニ、カバなど、様々な姿に掲揚されるが、ヨブ記で「神の傑作」と呼ばれたことに反して、後代になり暴食を象徴する悪魔として考えられるようになり、しばしば膨れた腹を持つ象の怪物として描かれた。

悪魔としてのベヒーモスは地獄の饗宴を監督し、食べ物やワイン、歌や音楽を供して仲間の悪魔たちを楽しませる役目を負っているとされる。また愚かで常に食べ物を食べているとされることもある。人間に召喚される場合、猫や犬、キツネ、オオカミなどの姿を取り、人間の世界に混沌をもたらすとされる。

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ベファーナ

Befana

イタリアにおける老婆の妖精ないし魔女。1月6日のエピファニア(エピファニー、公現祭とも。キリスト顕現の祝祭日)に各家庭を回り、良い子にしていた子供の靴下や靴にはおもちゃを入れるが、行儀の悪い子には石や石炭を入れていくという。ほうきに乗って飛ぶとされ、エピファニアの間、ベファーナの人形が飾り付けられたり、ベファーナ(およびその夫とされるベファーノ)を模した姿でパレードが行われたりする。これらの人形は祭の終わりに燃やされる。

ベファーナはおそらく「エピファニア(Epifania)」の転訛で、また豊作を感謝する祭りとキリスト教の信仰が集合したものと考えられる。またイタリアにおける運命の三女神の一人として、ロドッサマラテーガとともに人間の運命の紡ぎ手として語られ、編んだ靴下に象徴される。

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ベファーノ

Befano

イタリアのトスカーナ地方において、ベファーナの夫とされる妖精。杖を携えた腰の曲がった老人の姿をしている。エピファニアで催されるパレードにおいてベファーナとともに登場する。

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ペポソインカ

アイヌに伝わる妖怪の一種。名前は「水を通して見る」といった意味。川に棲む妖怪で、水中から人間を見ていて悪さを仕掛けるという。空中を飛ぶことが可能で、物体をすり抜ける能力を持っているとされる。

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ヘマ

Hemah

ユダヤにおいて怒りと家畜の死を司る天使。アフケゼフハロン・ペオルマシュヒトとともに破壊の天使ともされる。アフとヘマは兄弟の天使であり、二人とも背丈が500パラサング(約2800km)もあったという。アフとともにモーセをに見込もうとしたことがあったが果たせず、逆にモーセに殺されたとされる。

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ヘミキュネス

Hemicynes

中世のヨーロッパの伝承に登場する想像上の部族。半人半犬の姿をしており、名前も「半犬」といった意味を持つ。旅行家や船乗り達に世界の北の果てに住んでいる部族として語られた。

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ペヨーテ

Peyote

ネイティブアメリカンの間で、「聖なるペヨーテ」と呼ばれている精霊。植物の神でペヨーテとはサボテンの一種(日本でウバタマと呼ばれる)の名前でもある。荒涼とした地において、サボテンから得られる水は貴重なものであり、ペヨーテはサボテンの群生している場所を教えてくれたり、薬草の使い方を教えてくれたりするという。またペヨーテは摂取することによって幻覚症状などの精神的作用を引き起こすため、宗教的な儀式に用いられていた。

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ベリ

Beli

北欧神話に登場するヨツン族の巨人の一人。カーリの4人いる子供の一人。その名は「荒天」ないし「嵐」を意味する。

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ペリ

Peri

イランの高原地帯に住んでいる妖精の一種。背中に翼の生えた人間の姿をしており、魔法を使うことが出来る。男女とも理想的な姿で、男性は威厳があり、女性は美しい。四大元素の中の火から作られた妖精で、麝香や紫檀などの香木のかおりを食べて生きている。普段は険しい山の頂上や、深い泉の底にいるが、人間の世界に出てくることもある。ペリの女性が人間の男性と結婚したという話も伝わっている。

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ベリアル

Belial, Beliar, Berial

ユダヤ教、キリスト教における魔神ないし堕天使の一人。「旧約聖書」、「新約聖書」に言及されるほか、旧約聖書偽典やグリモアなどにもその名が見える。「ベリル(Belil)」の名で呼ばれる場合もある。かつては力天使で、「Satanel(神の使いの意)」と呼ばれていた。「Belial」の語義は「無価値な者」、「悪なす者」、「卑しい者」、「邪悪な者」という意味があり、旧約聖書の第七「士師記」、第九「サムエル記」などでは人間を形容する言葉として登場しているが、新約聖書「コリントの信徒への手紙」ではキリストに対する悪魔の固有名称として使われている。旧約聖書偽典「ヨベル書」によればノアの数代前に天から降りてきた天使達の長の一人がベリアルであり(もう一人はマステマ)、人間の女性の色香に惑わされ彼女たちと交わり、巨人族(ネフィリム)を産ませたので、その罪で天に戻れなくなり、堕天使となったという。ときにサタンと同一視され、「闇の国の王」と呼ばれるときもあるが、一般的にはサタンに次ぐ地位にある堕天使の一人とされる。

悪魔としてのベリアルは、偽り、ねたみ、破壊、患難、捕囚、欠乏、混乱、荒廃などに敏感に反応し、人間を誘惑して堕落の道に引きずり込み、その魂を自分のものとするいう。とくに姦淫、富裕、聖域を汚すことは「ベリアルの三つの網」と言われる。堕落しきった(しかし美しい)天使の姿や角のある天使の姿で描写される。そこはかとなく気品の感じられる明朗な声で話し、人間の心の中に罪を芽生えさせ、いたずらを助長し、人が怒るのを見て楽しむ。不誠実で何らかの手段を講じない限り正直にはなすことは無いとされる。また仇敵を親友に変える力を持っているという。

17世紀の魔術書(グリモア)の「レメゲトン」や「偽エノク文書」によればソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")であり、炎の戦車に引かれた美しい天使の姿で現われ、人間に高い地位を授ける能力を持っているという。またコラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」ではベリアルを古代フェニキアで崇拝された邪神だとしている。「偉大なる公爵」、「虚偽と詐術の貴公子」、「炎の王」、「敵意の天使」、「隠れたる賄賂と暗殺の魔神」などと称され、トルコの地獄の大使だとされている。

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ヘリオポリスの九柱神

The Nine Gods of Heliopolis

エジプト神話の創造神レーを始めとする血族で、四代目までの神は「ヘリオポリスの九柱神」と称する。ヘリオポリスはレーのもっとも重要な神殿があった都市である。レーは妻を必要とせず、つばを吐き、くしゃみをしてシューテフヌトを生んだ(後に涙から人間を創った)。ヌートの子供たちは二組の双子であり、イシスオシリス、及びセトネフティスらは兄妹ながらにして結婚している。

《ヘリオポリスの九柱神》
No.名前備考

01

レー
Re

太陽神。

02

シュー
Shu

大気の神。レーの子。

03

テフヌト
Tefnut

湿気の女神。レーの子で兄シューの妻。

04

ゲブ
Geb

大地の神。シューとテフヌトの子。

05

ヌート
Nut

天空の女神。シューとテフヌトの子で兄ゲブの妻。

06

オシリス
Osiris

冥界の神。ゲブとヌートの子。

07

イシス
Isis

魔術の女神。ゲブとヌートの子で兄オシリスの妻。

08

セト
Seth

戦争の神。ゲブとヌートの子。

09

ネフティス
Nephthys

死者の女神。ゲブとヌートの子で兄セトの妻。

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ベリト

Berith

17世紀の魔術書(グリモア)の「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に記される、ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「偽エノク文書」にもその名が見える。「ベアル(Beal)」、「ボルフライ(Bolfry)」、「ボフィ(Bofi)」などの名でも呼ばれる。召喚者の前に赤い馬に乗った王冠をかぶった男、あるいは赤い馬にまたがった赤い兵士の姿で現われるという。錬金術と過去と未来に関する知識を人間に与えるとされる。また表裏のある性格で、嘘をつく悪魔とされることが多い。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」では26の軍団を率いる地獄の公爵とされている。

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ペリト

Perit

アルバニアの民間伝承において、山地に住むとされる自然の精霊。白い服を着た小さな妖精だとされる。倹約しない者、特にパンを無駄にしたりするものを嫌い、その者を猫背にするという罰を与える。

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ペリュトン

Peryton

南ヨーロッパでアトランティス大陸に住んでいたとされる怪鳥。アレクサンドリア図書館(640年に壊滅)所蔵の本に記述が見られたとされているが、現在残っていない。地中海の島々でも目撃されたという。鳥の胴体と翼、鹿の頭と脚を持つ。大きさは人間大。自分自身の影を持たず、光を受けると人間の形の影ができる。一人の人間を殺し、その血に自分の体を浸すと自分自身の本来の影を取り戻すことが出来るため、人間を殺そうと狙っている。一匹につき一人しか殺さない(殺せない)が、必ず群れをなしているので襲われると大変なことになるという。人間の武器ではペリュトンを殺すことが出来ないとされている。

アレキサンドリアに伝わる伝承では、神に見捨てられ死んでいった魂がペリュトンになるとされている。つまり人をたたり殺さなければ浮かばれない悪霊の一種であると考えられる。ペリュトンは人間を殺すことが出来ると、本来あるべき影を取り戻してどこかへ飛び去っていくという。伝説によれば、古代のローマ将軍スキピオ(B.C.236~184)が配下の軍隊と共にカルタゴに侵攻したときもペリュトンの群れに襲われたとされている。しかしペリュトンはそれぞれ人間を一人しか殺さなかったのでスキピオ軍はそれほど兵力を削がれることはなかった。

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ヘル

Hel

北欧神話における冥界の女王。その強大な権限によって女神の一柱に数えられることもある。父は姦計の神ロキ、母は女巨人のアングルボザフェンリルヨルムンガンドは兄にあたり、この3人は「不幸をもたらす三兄弟」と呼ばれる。霧の国ニブルヘイムにオーディンによって放逐され、ヘルという国とその下層にあるニブルヘルという国(どちらも死者の国)と、また全世界の死者の運命を支配する。半身が青黒く、半身は肉の色────つまり半ば腐敗した女の姿をしている。ニブルヘイムにおいてヘルに仕えている臣民は全て病や老齢によって死んだ者であるとされる。ヘルは冥府の女王であるが人間や神を殺す権限を持たない(運命や寿命を司るのはノルン)。ただ死者を生き返らすような試みに対してはヘルの許可が要る。光の神バルドルが死んだとき、オーディンはヘルモズをニブルヘルに使者としてつかわせ、バルドルを生き返らせる許可をヘルに求めた。

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ペルクノ

Perkuno

バルト地域における雷神。リトアニアでは「ペルクナス(Perkunas)」、ラトヴィアでは「ペルコンス(Perkons)」あるいは「ペルコニス(Perkonis)」と呼ばれる。戦いと死の神パトロ、豊穣神ポトゥリンポと並ぶ主要な神で、北欧神話におけるトールのように力強く、しかし短気な神とされる。明けの明星はサウレとの間に生まれたペルクノの子だとされる。またスラヴにおける雷神ペルーンとも関連性がある。

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ベルグブーイ

Bergbui

北欧神話において、巨人ヨツン族の中でベルグブーイとともに「山の巨人」と呼ばれるグループに類する巨人達のこと。ベルグブーイとは「断崖の巨人」を意味する。

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ベルグヤール

Bergjarl

北欧神話における巨人の一人。ベルグブーイの長。その名は「山の支配者」を意味する。

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ベルゲルミル

Bergelmir

北欧神話における巨人族、ヨツンの一人。ユミルとともにこの世の始まりから存在する古代の巨人で、ユミルの孫(父はスルードゲルミル)。全てのヨツンはユミルから生まれたベルゲルミルの子孫だとされる。ユミルがオーディンヴィリヴェーらによって殺され、その血で大洪水が起こったとき、ベルゲルミルとその妻だけが生き延びることに成功した。二人はヨツン族の祖となり、その子孫はたびたび先祖を殺した神々への復讐を企てている。

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ベルゼブブ

Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub

ユダヤにおける魔神、大悪魔。七つの大罪のうち「大食(Gluttony)」を司るとされる。「ベルゼブド(Belzebud)」、「ベルザボウル(Belzaboul)」、「ベルゼボウル(Beelzeboul)」、「バアルセブル(Baalsebul)」など様々な発音とスペルの異なった呼び方がある。魔王サタンルシファー(ルキフェル)と同一視されたり、或いはその片腕とされることが多い。「悪魔の貴公子」と称される。地獄王国の最高君主とも呼ばれ、地獄の支配権をキリストから与えられたとも言われる(新約聖書にはキリストがベルゼブブを使って悪魔払いをしていると中傷されるくだりがある)。疫病を撒き散らす元凶とされる。

旧約聖書ではエクロンの神、新約聖書では悪霊の王とされる。本来はペリシテの神「バァル・ゼブル(おそらくバールのこと)」のことであり、この名は「館の王」、「神殿の王」といった意味である。しかしペリシテと敵対していたユダヤではこの神を「ベルゼブブ」と読み替えた。何故なら「ベルゼブブ」と読み替えるとヘブライ語で「蝿の王」といった意味に変わるからである。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」に挿絵を描いたM=L=ブルトンは、ベルゼブブをその名の通りに、羽に交差させた骨と髑髏の紋章を持った巨大な蝿として描いた。この姿は勿論ブルトン独自の解釈で描かれたものである。「地獄の辞典」は説明も挿絵も悪魔研究家から「伝統的な悪魔学を混乱させた」として酷評を受けることが多いが、ベルゼブブのこの悪魔として分かりやすい姿は、大衆に受け入れられ今やすっかり定着してしまった。

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ペルツニッケル

Pelznickel

ドイツ北部におけるクリスマスの妖精。「毛皮を着たニッケル」の意。他にも「ペルツェ・ノコル(Pelze nocol)」、「ヴァイナハト・マン(Weinachts Mann)」などの名前でも呼ばれる。ルターの宗教改革によりそれまでの聖ニコラス伝説が否定されたあとに俗化した形で民間で信じられるようになった。ペルツニッケルはその名の通り毛皮を着た陽気な冬の精霊で、クリスマス前夜に家々を一軒一軒訪れ、一年間良い子にしていた子供にプレゼントを届ける。ペルツニッケルの別称の一つである「シンメル・ライター(Schimmel Reiter)」は元々ウォーダン(オーディン)の別称であり、キリスト導入後もゲルマン神話の神が民間伝承の中で姿を変えて伝えられていたことが分かる。

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ヘルハウンド

Hell Hound

「地獄の猟犬」。イギリスに伝えられる有名な怪物でブラック・ドッグの別称の一つ。

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ベルヒタ

Berchta

ヨーロッパのドイツ南部やオーストリア、スイス、アルザス地域などに伝わる冬や糸紡ぎ、あるいは災厄を司る精霊。「アイゼンベルタ(Eisenberta)」、「シュピンシュトゥーベンフラウ(Spinnstubenfrau)」、「ブツェンベルヒト(Butzenbercht)」、「フラウ・ベルヒタ(Frau berchta)」、「フラウ・ベルタ(Frau berta)」、「ブレヒタ(Brechta)」、「プレヒト(Precht)」、「ベルクタ(Berkta)」、「ベルタ(Bertha)」、「ベルヒテン(Berchten)」、「ペルヒテン(Perchten)」、「ベルヒト(Bercht)」などの名前でも呼ばれる。

ベルヒタは地域ごとに性格や姿にバリエーションがある。一つは子供のしつけの際に引き合いに出されるような恐ろしい老婆としての姿、もうひとつは雪のように白く若々しく美しい、(そして時に残酷な)女性の姿である。
老婆としてのベルヒタはざんばら髪で鉤鼻とビーズのごとく輝く瞳を持ち、みすぼらしい服を身に着け、糸巻き棒を手に持った姿で描写される。また紡ぎ車のペダルを常に踏んでいるために片足がもう片方と比べて平べったく長い、という特徴がある。中が空洞になっている山の奥深くに住んでおり、だらしない子供が嫌いで恐ろしい目に合わせるとされる。1月6日にある「公現祭」前夜においてベルヒタは「贈りものの運び手」とされ、良い子に贈り物を届けてくれる存在である。
若々しい女性としてのベルヒタは死と災厄を予言する精霊であったり、麦畑や納屋、糸紡ぎを司る守護霊であったりする。この二つの相反する姿は時に両立し、醜いベルヒタ(ベルヒテン(Berchten)やシュッフペルヒテン(Schiechperchten)と呼ぶ)と美しいベルヒタ(ペルヒテン(Perchten)やシュウンペルヒテン(Schönperchten)と呼ぶ)として、前者は悪魔などの悪しきものを追い払い、後者は幸運や富を呼びよせる者とされる。

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ベルフェゴール

Belphegol, Beelphegor

ユダヤにおける魔神の一人。七つの大罪のうち「怠惰(Sloth)」を司るとされる。「バアル=ペオル(Baal-Peor)」、「ベルファゴル(Belfagor)」とも呼ばれる。発明と発見の魔神で、かつては権天使だったという。その名は「ペオル(フェゴル)山の主」或いは「穴(裂け目)の主」を意味し、もともとはモアブ人の崇拝した神とされる。「民数記」第25章によると、ヨルダン河東部ではベルフェゴールにより疫病が起こり、2万4000人が死んだという。中世ヨーロッパの伝承によれば、ベルフェゴールは人間の世界に「真の意味での幸せな結婚」が存在するかどうかを確認するために地獄から地上に派遣され、世界中をまわったが、そんなものはこの世に存在しないと確認したという。普通は女性の姿であらわれるが、洋式便器に腰掛けた角の生えた全裸の男の姿で描かれることもある。

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ヘルメシエル

Hermesiel

天国の聖歌隊の指導者の一人で、この役職をタガスメタトロンラドゥエリエルなどと共有している。明らかにギリシャ神話のヘルメスの名に接尾辞を付けただけの天使で、ヘルメスがリュラ(竪琴)の発明者とされることからの発想であると考えられる。ヘルメシエルは竪琴の名手とされたダビデと同一視されたという。

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ヘルモズ

Hermóðr

北欧神話において、主神オーディンフリッグの息子とされる使者の神。「ヘルモード(Helmod)」とも。ヘルモズという名前は「決心」を暗示している。またヘルモズは「俊敏なるもの」という異名を持ち、勇敢で大胆な戦神とされている。ロキの姦計によってバルドルが死んだとき、冥府ニブルヘルに赴き、死の神ヘルと交渉する役目をすすんで負ったのがヘルモズである。彼は父親から生者をニブルヘルに運ぶことができる八本足の馬スレイプニルを借り受け、死者の国への道程を九日九夜かけて走破してヘルに謁見し、バルドルを生き返られるための条件を聞き届けた。ヘルモズはオーディンの冥府へと旅する能力を独立して神格化させた存在だと考えることができる。

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ペルーン

Perun

東スラヴにおける雷神にして軍神。「ペルーヌ(Perunu)」、「ピオルン(Piorun)」とも呼ばれる。高いいただきにすみ、人の姿で右手に稲妻の矢を持っていて石臼に乗って飛ぶ。家畜神であり軍神であるヴェーレスはペルーンの仇敵とされる。

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ペレ

Pele

ハワイ島にあるキラウェア火山の化身とされる女神。ペレは元々カヒキ(タヒチ)にいたが、姉の夫を寝取ったため追い出されたのだといわれている。キラウェア火山の活発な活動を女性の気性の荒さとして神格化した存在であり、「ヒナ・アイ・マラマ(Hina-ai-malama="月を食らうヒナ")」とも呼ばれる。豚の神カマプアアと争い島を荒野にしてしまったが、以後ペレとカマプアアは領地を分け顔を合わせないようにしているとされる。それでも二人が会ってしまったときは闘争が始まるので地震が起こるという。

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ベレト

Beleth

17世紀の魔術書「レメゲトン」の第一部「ゴエティア」に記される、ソロモン王に封印された72柱の魔神の一人(→"ソロモンの霊")。「ビレト(Bileth,Bilet)」、「ビュレト(Byleth)」とも呼ばれる。旧約聖書偽典「エノク書」をモデルとする「偽エノク文書」の目録にもその名が見える。召喚者の前に青ざめた馬に乗って現われるとされるがベレト自身の姿は定かではない。またベレトは召喚されることを嫌がるとされ、召喚する者は護符として左手の中指に銀の指輪をはめることを推奨されている。男女の間を取り持つ能力を持っているとされる。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」では80の軍団を率いていると記されている。

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ベロナ

Bellona

ローマの古い戦いの女神。ギリシアのエニュオに相当する。マルスの妻であるネリオと同一視され、マルスの妻、または乳母あるいは姉妹とも言われる。手に武器と松明を持ち、マルスの戦車を御する姿で表されることが多い。

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弁財天べんざいてん

Sarasvatī

仏教における知識と技芸の女神。同訓で「辯才天」、「弁才天」、「辨財天」とも書く。また「弁天(べんてん)」、「弁天様(べんてんさま)」、「妙音天(みょうおんてん)」、「妙音楽天(みょうおんがくてん)」、「美音天(びおんてん)」とも呼ばれる。またサンスクリト名の音写から「薩羅婆縛底(さらさばくてい)」、「薩羅薩伐底(さらさばってい)」、「薩羅酸底(さらさんてい)」などと記される。

インドの女神である「サラスバティー(Sarasvatī)」を元とするが、弁舌や音楽の神である「ヴァーチ(Vāci)」と習合して信仰されたため「弁舌の才能を司る天=弁才天」と訳された。「才」を「財」に変えて記すようになったのは室町時代以降に財福神として信仰されるようになったからである。舌・財・福・智慧・延寿などを与え、災厄を除き、戦勝を得させるという。像は、八臂(弓、箭、刀、斈、斧、杵、輪、羂索を持つ)、または、二臂(琵琶を持つ)。また蛇頭人身の像なども存在する。

日本では後世に吉祥天、あるいは穀物の神である宇賀神とも同一視されて、多く「弁(辨)財天」と書き、福徳や財宝を与える七福神の一神とされた。また市寸島比売命などと習合し、「~弁天」と呼ばれることも多い(例:江ノ島弁天、竹島弁天など)。

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弁積菩薩べんしゃくぼさつ

Pratibhānakūṭa

仏教において賢劫十六大菩薩とされる菩薩の一尊。サンスクリット名を「プラティバーナクータ(Pratibhānakūṭa)」といい、プラティバーナは「知性」、「雄弁」、クータは「罠」や「集合」を意味することから「弁積菩薩」、「智積菩薩(ちしゃくぼさつ)」などと称する。また音写から「鉢羅底婆那倶吒(はらていばなくた)」とも呼ばれる。衆生に三蜜の教法を説き迷夢から覚まさせる仏尊だとされる。金剛界曼荼羅の檀外の北方(右側)の4尊のうち西(上)から二番目に配される。

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卞城王べんじょうおう

Biàn-chéng wáng

変成王へんせいおう

Biàn-chéng wáng

仏教や道教において地獄で審判を行うとされる十王の一人。六七日の審判を司るとされ、「変成大王宝粛昭成真君(へんじょうだいおうほうしゅくしょうせいしんくん)」、「卞城王(べんじょうおう)」の名でも呼ばれる。大叫喚地獄の主とされ、弥勒菩薩を本地とし、法衣と法冠を身に着けた温容な相で表される。

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ペンタチコロオヤシ

樺太地方のアイヌに伝わる妖怪。名前は「松明をかざすお化け」の意。夜中に松明をもってうろつきまわり、人々に様々な怪異を見せるという。ペンタチコロオヤシの持つ松明は普通の松明ではなく、夜道を昼のように明るく照らすとされる。樺太の東海岸北部に伝わる説話によれば、このお化けの正体はワタリガラスだという。

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本主ペンチウ

Běn-zhǔ

中国の少数民族、白(ペー)族における土地の守護神。この世と冥界のすべてを司る神で、かつては全ての人々に崇拝されていたという。村ごとに異なる本主がいて、村によっては本主になっているのは歴史上の英雄であったりする。

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ベンディス

Bendis

トラキアにおける月の女神。

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ベン・ニー

Bean-nighe

スコットランドやアイルランドの伝承に登場する女の妖精でバンシーの一種。名前は「洗濯女」を意味する。「バン・ニーハン(Bean Nighechain)」、「ニーグ・ナ・リー(Nigheag Na H'ath)」とも呼ばれる。小川に出没し、歌を歌いながらもうすぐ死ぬ人の血がついた服を洗っている。その服が憎い相手のものであったならそのままにしておいてもよいが、自分や家族、友人の服であったらベン・ニーを説得して洗うのを止めさせなけばならない。洗うのをやめさせることによってその人が死を免れるかもしれないからだ。ただベン・ニーを目撃すること自体も危険で死期が近い証拠であるともされる。ベン・ニーと接触するには彼女に気付かれずに近づかなければならず、その上でベン・ニーの乳房を掴み自分の最初の養母になることを宣言させると良いとされる。

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ベンヌ

Bennu

古代エジプトのヘリオポリスで崇拝された神鳥。その姿は青鷺ないしセキレイに似ているが、身体は黄金色をしている。太陽神レーと関係が深く、レーはこの世のはじめに混沌の海からベンヌの姿で誕生し、ベンベン石というオベリスク(記念碑)の上に舞い降りたといわれる。また太陽はベンヌの産んだ卵から誕生したとする伝承もある。この世の最初に誕生した鳥であることから、ベンヌの鳴き声によってこの世の時間が開始されたとも言われる。ベンヌは死と再生のシンボルともされるため、古代ギリシャ・ローマの学者たちはこの鳥をフェニックスと同一視した。

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