ベルゼブブ

ベルゼブブ

Beelzebub, Beelzebul, Baal-zebub

ユダヤにおける魔神、大悪魔。七つの大罪のうち「大食(Gluttony)」を司るとされる。「ベルゼブド(Belzebud)」、「ベルザボウル(Belzaboul)」、「ベルゼボウル(Beelzeboul)」、「バアルセブル(Baalsebul)」など様々な発音とスペルの異なった呼び方がある。魔王サタンルシファー(ルキフェル)と同一視されたり、或いはその片腕とされることが多い。「悪魔の貴公子」と称される。地獄王国の最高君主とも呼ばれ、地獄の支配権をキリストから与えられたとも言われる(新約聖書にはキリストがベルゼブブを使って悪魔払いをしていると中傷されるくだりがある)。疫病を撒き散らす元凶とされる。

旧約聖書ではエクロンの神、新約聖書では悪霊の王とされる。本来はペリシテの神「バァル・ゼブル(おそらくバールのこと)」のことであり、この名は「館の王」、「神殿の王」といった意味である。しかしペリシテと敵対していたユダヤではこの神を「ベルゼブブ」と読み替えた。何故なら「ベルゼブブ」と読み替えるとヘブライ語で「蝿の王」といった意味に変わるからである。コラン・ド・プランシー著「地獄の辞典」に挿絵を描いたM=L=ブルトンは、ベルゼブブをその名の通りに、羽に交差させた骨と髑髏の紋章を持った巨大な蝿として描いた。この姿は勿論ブルトン独自の解釈で描かれたものである。「地獄の辞典」は説明も挿絵も悪魔研究家から「伝統的な悪魔学を混乱させた」として酷評を受けることが多いが、ベルゼブブのこの悪魔として分かりやすい姿は、大衆に受け入れられ今やすっかり定着してしまった。

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  • This Page Last Updated: 2018-03-04