ベルヒタ

ベルヒタ

Berchta

ヨーロッパのドイツ南部やオーストリア、スイス、アルザス地域などに伝わる冬や糸紡ぎ、あるいは災厄を司る精霊。「アイゼンベルタ(Eisenberta)」、「シュピンシュトゥーベンフラウ(Spinnstubenfrau)」、「ブツェンベルヒト(Butzenbercht)」、「フラウ・ベルヒタ(Frau berchta)」、「フラウ・ベルタ(Frau berta)」、「ブレヒタ(Brechta)」、「プレヒト(Precht)」、「ベルクタ(Berkta)」、「ベルタ(Bertha)」、「ベルヒテン(Berchten)」、「ペルヒテン(Perchten)」、「ベルヒト(Bercht)」などの名前でも呼ばれる。

ベルヒタは地域ごとに性格や姿にバリエーションがある。一つは子供のしつけの際に引き合いに出されるような恐ろしい老婆としての姿、もうひとつは雪のように白く若々しく美しい、(そして時に残酷な)女性の姿である。
老婆としてのベルヒタはざんばら髪で鉤鼻とビーズのごとく輝く瞳を持ち、みすぼらしい服を身に着け、糸巻き棒を手に持った姿で描写される。また紡ぎ車のペダルを常に踏んでいるために片足がもう片方と比べて平べったく長い、という特徴がある。中が空洞になっている山の奥深くに住んでおり、だらしない子供が嫌いで恐ろしい目に合わせるとされる。1月6日にある「公現祭」前夜においてベルヒタは「贈りものの運び手」とされ、良い子に贈り物を届けてくれる存在である。
若々しい女性としてのベルヒタは死と災厄を予言する精霊であったり、麦畑や納屋、糸紡ぎを司る守護霊であったりする。この二つの相反する姿は時に両立し、醜いベルヒタ(ベルヒテン(Berchten)やシュッフペルヒテン(Schiechperchten)と呼ぶ)と美しいベルヒタ(ペルヒテン(Perchten)やシュウンペルヒテン(Schönperchten)と呼ぶ)として、前者は悪魔などの悪しきものを追い払い、後者は幸運や富を呼びよせる者とされる。

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  • This Page Last Updated: 2017-07-09