ロヴィアタル
Loviatar
フィンランドにおける冥府の王トゥオニの娘達の中で、一番腹黒く、一番醜いとされる娘。様々な邪悪の元凶とされている。彼女が「罪悪」と「悲哀」の原野に座り込んでいると、東から吹く嵐が荒野を渡ってきて、彼女に身体に吹き付けた。これによってロヴィアタルは妊娠した。彼女は苦しくて子供を産もうとしたが、どうしても生まれない。すると空からウッコの声がして、「子を産みたいなら、ポーヨラに行くといい。かの国ではお前を待ち焦がれている」と言うので、北の国ポーヨラへと向かった。彼女の腹からはなんと九人もの子供が生まれた。「疝痛(発作性・周期性の腹痛の一種)」、「肋膜炎」、「肺病」、「痛風」、「熱病」、「潰瘍」、「疫病」、「疥癬(ヒゼンダニの寄生によっておこる伝染性皮膚病)」、「癌腫」である。ロヴィアタルは子供たちが大きくなると、「さぁ、お前達は、ワイナモイネンの住む里に行って、思う存分人を苦しめるのだよ」と言った。こうして英雄ワイナモイネンの住む里の住人達は、数知れない病気に掛かって次々と死んでしまった。ワイナモイネンがウッコに里の人々の苦しみと悲痛に告げ祈ると、この祈りは聞き届けられ、病人に湯を注いだり、湯気を当てたり、薬草から作った香油を塗ったりすると病はたちどころに治り、ロヴィアタルの子供達は退治された。
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