ツァウィ
Tzahui
Tzahui
Tsavoojok
アメリカに住むネイティブアメリカンの一部族、北パイユート族(パヴィオツォ族)の伝承や伝説に登場する老いた男の巨人。若い人間の妻を欲しがり、人間の夫同士が喧嘩するように仕向けでその夫たちの妻をさらったが、怒った夫たちの罠にはまり結局殺されてしまった。
Tsanahale
Tsabaoth
Tzaphkiel
Tzaphqiel
「ゾハル」やカバラなどに言及される天使。「ツァフクイエル(Tzaphquiel)」、「ツァフキエル(Tzaphkiel)」などの名前でも呼ばれる。名前は「神の瞑想」を意味する。セフィロトの第3セフィラ「ビナ(Binah=理解)」のインテリジェンス(叡智体)ないし、10人のアークエンジェルの第3位に位置する。
Tzaphquiel
Tshangs pa, Tsangpa
チベット仏教におけるブラフマー(=梵天)でダクシェの一人。名前は「完全な者」、「純粋な者」といった意味であり、ブラフマーの訳語として使用される前からチベット土着の「ツァンパ」と呼ばれる神がいたと考えられている。実際チベット土着の宗教であるボン教では「ギェルポ・ツァンパ(ギェルポは"王"や"支配者"を意味する)」という神がいる。方位の守護神としての(つまり八方天や十方天としての)ツァンパは、チベットでもインド由来の姿であるガチョウに乗る四面二臂ないし四臂の姿で描かれるが、単独の護法神として描かれる場合は「ツァンパ・カルポ(Tshangs pa dkar po, Tsangpa karpo)="白いツァンパ"」と呼ばれる姿で描かれ、神託の神として信仰された。
その姿は白色の身色で額に第三眼のある三目の一面二臂、黄金の馬に乗り、右手で剣を高く振り上げ、左手は脇に幡のついた長槍を挟みながら宝を持った盆を持ち、頭に白色の螺貝を戴くもの。このことから「ツァンパ・トゥンギ・トルツクチェン(Tshangs pa dung gi thor tshugs can, Tsangpa dungi tortsukchen)="螺貝の頂髻をもつツァンパ"」という名でも呼ばれる。
Tzitzimitl
Tzitzimime
Tui Delai Gau
メラネシアのフィジー諸島にあるガウ島の伝承に見える巨人。非常に巨大だが聡明で魔術に長けており、自分の手をはずして指で歩かせ、海岸で魚を釣ったりできたという。遠くを見たい時は頭をはずして手で頭を持ってその方向を眺めることが出来た。ツイ・デライ・ガウは人間に好意的で、鋤の使い方や食べ物の料理の仕方を人間に教えたとされる。
Tzedeqiah
Tsenahale
Tshe dpag med, Tsepakmé
Tshe ring mched lnga, Tsering chenga
チベット仏教においてチョキョン(=護法神=ダルマパーラ)とされる5人の女神群。名前は「長寿の五兄弟」を意味する。彼女らは「チョモ・カンガル(Jo mo gangs dkar, Jomo gangkar="白い雪の女王"の意。チョモランマ=エベレストに比定される)」という山の五つの峰にを示しているとされしばしばタンカに描かれる。とくにタシツェリンマは単独でも信仰されている。
名称 | 備考 | |
---|---|---|
01 |
| 長寿を司る。 |
02 |
| 吉凶の占いを司る。 |
03 |
| 食べ物を司る。 |
04 |
| 財宝を司る。 |
05 |
| 家畜の悉地を司る。 |
bTsan, bCan
空中に住むチベットの魔人。人間の前には赤い軍馬にまたがって山々を駆ける、荒々しい猟師の姿で現れる。人里離れた荒野でひとりきりになると、ツェンの矢にあたって命を落とすといわれている。
Cuō-sī cuō-qīn
中国雲南地方の紅河(ソンコイ川)南岸及び奥地に住む哈尼(ハニ)族が信仰する山神。
つきさかきいづのみたまあまざかるむかつひめのみこと
「日本書紀」に言及される女神で、天照大御神の一側面である荒御魂(あらみたま=荒ぶる勇猛な魂)に対する神名。単に「天佐迦留向津姫命」、「天疎向津姫命」、「天退向津姫命」などと記して「あまさかるむかつひめ」と呼ばれることもある。名前の「撞賢木(つきさかき)」は「斎榊(いつきさかき)」のことで、「厳(いつ、いづ)」の枕詞で神を祭る榊を忌み清めるもの、「厳(いつ、いづ)」は清浄であるさま、「天疎向」は国土から天を仰ぎ見奉ることを意味すると考えられる。
仲哀天皇が熊襲を討つために筑紫に行幸したとき、随伴した神功皇后が神懸かりし、「先に新羅を討つべし」との託宣があった。しかし仲哀天皇はこれを信じず、熊襲を攻めた結果敗走し、筑紫で没した。このため神功皇后は改めて斎宮を設け審神者を立て、自らが神主となり神に神名を尋ねた。七日七夜経ってから、「私は神風の伊勢国、度逢縣(わたらいのあがた)の拆鈴(さくすず)の五十鈴宮にいる神。撞賢木厳之御魂天疎向津媛命である」との答えがあった。「五十鈴宮」とは伊勢神宮の内宮(皇大神宮)のことで、つまり天照大御神と同神ということになる。
神功皇后はこの神を祀り無事に熊襲を討ち、更に新羅も征伐した。その帰りに紀伊から難波へ船を進めようとしたが船が思うように進まなかった。神功皇后が神にお伺いを立てると、天照大御神が応え「我が荒魂は皇居の近くに置くべきでない。廣田国におくとよい」との神託があった。このため葉山媛が廣田にこの神を祀ったという。
この時の神社が兵庫県西宮市にある「廣田神社(ひろたじんじゃ)」であり、撞賢木厳之御魂天疎向津媛命を「天照大御神之荒御魂(あまてらすおおかみのあらみたま)」として祀る。またおなじく伊勢神宮内宮(皇大神宮)の境内別宮である「荒祭宮(あらまつりのみや)」においても同神を「天照坐皇大御神荒御魂(あまてらしますすめおおみかみのあらみたま)」として祀る。
つきたつふなどのかみ
日本記紀神話に見える神。「古事記」には「衝立船戸神」、「日本書紀」には「岐神(ふなとのかみ)」の名で見える。黄泉の国から逃げ帰った伊邪那岐命が、身を清めようと禊をした時に化生した神の一人で、伊邪那岐命が投げ捨てた杖から生まれ出でたとされる。神名の「ふなど」は「来勿所(くなど)」、つまり「来るなとせき止める場所」と解され、境界を守る神とされている。
つきほことおるひこのみこと
「出雲国風土記」に登場する神。名前は「衝杵等乎而留比古命(つききとおるひこのみこと)」、「衝鉾等乎而留比古命(つきほことおるひこのみこと)」ともされる。また「つきほことおてるひこのみこと」とも訓む。須佐能乎命(→須佐之男命)の御子神の一柱とされる。風土記中の秋鹿郡多太郷(現在の島根県松江市の一部)の地名由来譚に登場し、衝桙等乎而留比古命がこの地を訪れた時、「我が心は照明(あか)く正真(ただ)しく成りぬ」と言って鎮座したことから、この地を「多太(ただ)」と称したという。島根県松江市岡本町にある「多太神社(ただじんじゃ)」はこの神を主祭神として祀る。この社は出雲風土記に記される「多太社」に比定されている。また石川県小松市上本折町にある多太神社でもこの神を祀っている。
つくしのかみ
「釈日本紀」に引かれる「筑後国風土記」逸文において「筑紫」という地名の由来の一説として記される神。それに拠れば、筑後と筑前の境界には「麁猛神(あらくたけき神。つまり荒ぶる神)」がいて、行き交う人の半分は死んでしまうので、「人命尽神(ひとのいのちのつくしのかみ)」と呼ばれた。このため筑紫君(つくしのきみ)と肥君(ひのきみ)が占い、筑紫君の祖となる「甕依姫(みかよりひめ)」が祭祀するようにしたところ通行人が死ぬことは無くなり、この神を筑紫神と呼ぶようになったという。福岡県筑紫野市原田にある式内社「筑紫神社(つくしじんじゃ)」の主祭神はこの神とされる。
つくつみのみこと, つくづみのみこと
「出雲国風土記」に登場する神。「都久津美神(つくつみのかみ)」とも呼ばれる。風土記中の地名由来譚において登場し、島根郡の千酌(現在の島根県松江市美保関町)は伊邪那岐命の御子神の一人である都久豆美命が生まれた場所なので「都久豆美(つくつみ)」と呼ばれ、これが訛り「千酌(ちくみ)」と呼ぶようになったという。名義は不詳であるが、「月津霊(つくつみ)」とすれば月の神、「月津水(つくつみ)」とすれば月ごとの水、つまり潮汐の神と考えられる。島根県松江市美保関町にある「爾佐神社(にさじんじゃ)」に祀られる。
つくもがみ
日本における無機物の精霊のような存在。年を経て古くなった道具や器物など、万類のものには精霊が宿って妖怪になると考えられており、これらの器物の変化(へんげ)を総称して付喪神という。付喪神は九十九髪に通じ、これは老女の白髪を意味するが、どんなものでも年月を経たものは化ける力をもって付喪神になるとされた。大体は器物に眼、口、手、足などが付いて、勝手に動いたり喋ったりする。人に害を成したりすることは少なく、ただ騒いだり、悪戯したりすることが多いが、ときに捨てられた器物が恨みをもって付喪神になる場合もあるという。
土佐光信原画
「付喪神記(つくもがみき)(写)」より
国立国会図書館蔵
Copyright: public domain
つくよみのみこと
記紀神話に登場する日本における月、月齢を司る神。「古事記」では、伊邪那岐命が禊をしてときに生まれた子とされ、「日本書紀」では伊邪那岐命・伊邪那岐命の間の子と伝える。天照大御神、須佐之男命とともに三貴神と言われる。「つきよみのかみ」とも発音する。「日本書紀」では「月神(つきのかみ)」、「月弓尊(つくゆみのみこと)」、「月夜見尊/月読尊(つくよみのみこと)」と記される。その名前の語義は「月の満ち欠けを数える」、つまり暦日を読むことと関係し、日の巡りとともに月の巡りで四季の変わり目を知り、農作業の区切り目としたことから、農耕神として信仰されている。また「月を読む」ことは吉凶を占うことに通じ、本来は渡来人がもたらした亀卜(きぼく。亀甲を用いてする古代のうらない)の神だったのではないかと考えられている。また月は海の干満に関係し、神話において伊邪那岐命から「蒼海原を治めよ」と命じられていることから、海や船、あるいは生命の源泉である水や不老不死の生命力をも司る。
つちのこ
つつがむし
日本において妖怪の一種だと思われていたダニ。恙虫は日本では山形・新潟の各県の河川の流域に発生し、これに刺されると頭痛、食欲不振が起こり、発病一週間くらいから全身に赤い斑状発疹が現れ、その後死んでしまう(現在では特効薬がある)。恙虫自体ではなくリケッチア・オリエンタリス(Rickettsia orientalis)という病原体を恙虫が媒介するため起こる。「健康である。元気で何より」と言った意味の「恙無(つつがな)い」という言葉はこの妖怪から派生した言葉だとされる。
つつこわけのかみ
つながいのかみ
「延喜式」に名が見える神。宮中において座摩巫(いかすりのみかんなぎ)によって祀られた、宮中を護る「座摩神」の五柱のうちの一柱。同訓で「津長井神」とも記す。住地と水、とくに御溝水(みかわみず=庭を流れる水)を司る神とされる。神名は綱の長い井戸、つまり深く掘られた水の枯れない井戸を表すもので、御饌として捧げられる御水の元となる井の水を讃え、これを神格化したものと考えられる。大阪府大阪市中央区にある「坐摩神社(いかすりじんじゃ)」、大阪府岸和田市積川町にある式内社「積川神社(つがわじんじゃ)」などに坐摩神として祀られる。
つのぐいのかみ
日本記紀神話に登場する男神。「角」は「つぬ」とも発音する。女神の活杙神とともに神世七代の第4代を成す。古事記では「角杙神」、日本書紀では「角樴尊(つのぐいのみこと)」と表記される。「杙」をどう解釈するか意見が分かれるが、いずれにしても国土が生成される過程を表現した神だと考えられている。「新撰姓氏録」に記される「角凝魂命(つのこりむすびのみこと)」、「天角己利命(あめのつのこりのみこと)」、「角凝命(つのこりのみこと)」といった神は角杙神と同体とされることもある。島根県大田市川合町にある「物部神社(もののべじんじゃ)」の境内末社である「神代七代社(かみよななよのやしろ)」や、茨城県久慈郡大子町の「十二所神社(じゅうにしょじんじゃ)」などに他の神世七代とともに祀られる。
つぶらひこのみこと
つぶらひめのみこと
Zmag ognjeni vuk, Zmaj ognjeni vuk
ボスニアやセルビアの伝説・伝承に登場する狼男、或いは狼憑きの固有名。名前は「火のような(=気の荒い)ドラゴン狼」といった意味で、「暴君ヴク」として恐れられた15世紀の領主、「ヴク・グルグレヴィッチ(Vuk Grgurević)」の異名。彼は腕に赤い毛の生えた赤いあざがあったので、火を吐く狼憑きだとされた。民謡ではドラゴンの息子として歌われ、夜でなくても曇って太陽が見えないときであれば狼に変身することが出来たという。
Tūmatauenga, Tu-matauenga
マオリ神話において、開闢の夫婦神パパ・ツ・ア・ヌクとランギ・ヌイとの間に生まれた、六柱の神の一人で戦争を司る。名前は「怒った顔の"ツ"」を意味する。夫婦神は天空と大地そのものであり、彼等が抱きあって密着している為、大地には光が差さず、その空間にいた彼等は居心地が悪く、彼等は話しあって二人を無理やり引き離す事に決めた。これに六柱の一人である嵐神タフィリ・マテアは反対したが、ツ・マタウェンガは二人を殺せと主張した。この仕打ちに怒ったタフィリ・マテアは兄弟とその子孫達に攻撃を仕掛けた。この時一人だけ立ち向かったのがツ・マタウェンガで、彼はタフィリ・マテアを打ち負かしたあと自分を見捨てた他の4人の兄弟達に怒りを向け、彼等を食べ尽くした。そのため、「好戦家の~」、「人食いの~」、「狭い顔の」といった形容を付けて恐れられるようになった。
つまつひめのみこと
つらなぎのかみ
つらなみのかみ
つるぎねのみこと
「日本書紀」、「先代旧事本紀」、「新撰姓氏録」に見える神。同訓で「劔根命」とも書く。日本書紀では「劒根(つるぎね)」の名で登場し、先代旧事本紀では別名を「葛木土神剣根命(かつらぎのつちのかみつるぎねのみこと)」という。初代の葛城国造とされる。高魂命(たかみむすひのみこと→高御産巣日神)、あるいは天押立命(あめのおしたちのみこと)の子孫とされ、孝安天皇の曽祖父にあたり、「賀奈良知姫(かならちひめ)」という子神がいる。名義は不詳だが「葛城/葛木(かつらぎ)」からの転訛ないし連想とも考えられる。奈良県葛城市葛木にある「葛城御県神社(かつらぎみあがたじんじゃ)」、大阪府堺市中区にある「陶荒田神社(すえあらたじんじゃ)」などに祭神として祀られる。
つるぎひこのみこと
「出雲国風土記」に登場する神。「つるきひこのみこと」とも読む。同風土記の島根郡山口郷の説明の下りで、須佐能袁命(→須佐之男命)の御子である都留支日子命が「私が治めるのは山口(山の入り口)に当たる場所だ」と言ったことからこの地名になったとされている。この下り以外に記載がなく、また他の文献にも見られない神であるため詳細は分からないが、神名に「剣(つるぎ)」を冠するため刀鍛冶を司る神、あるいは武神であったと思われる。山口郷は今でいう島根県松江市上東川津町にあたり、この場所に鎮座する「布自伎美神社(ふじきみじんじゃ)」で祀られるほか、「都留伎神社」、「劔神社」、「剣神社」などの全国の「つるぎ」と名がつく神社の一部は都留支日子命を祭神として祀る。
つるべおとし
日本における妖怪の一種。「釣瓶下し(つるべおろし)」とも呼ばれる。寂しい場所にある木の上に棲んでいる。通行人が下を通ると、井戸の水をくみ上げる釣瓶が落ちるようなものすごい勢いで上から落ちてきて人を驚かす。一度落ちたあとは何度も上下し、人を釣り上げることもある。人の頭の形のもの、井戸の釣瓶と同じ形をしているもの、鞠のような形のものがあるという。京都亀岡市の釣瓶落しの場合は人間の顔が木から落ちてきて上下しながら「夜なべ済んだか釣瓶下ろそか、ぎい ぎい」としゃべるという。
つんつんさま
千葉県南房総市旧三芳村(みよしむら)の増間(ますま)に伝わる怪異。増間で「トリゴエ」と呼ばれていた場所は、夕方になるとツンツン様という魔物が通るとされていた。ツンツン様が通るときは生暖かい風が吹き、牛のような大きな動物も怯えるという。