一字金輪仏頂いちじきんりんぶっちょう
Ekākṣara-uṣṇīṣacakra
仏教において仏陀の頭頂の功徳を仏尊とした仏頂尊の一尊。サンスクリット名を「エーカークシャラ・ウシュニーシャチャクラ(Ekākṣara-uṣṇīṣacakra)」といい。「エーカークシャラ」は「単音」、「ウシュニーシャ」は「肉髻」、「チャクラ」は「輪」を意味する。「一字金輪(いちじきんりん)」、「一字金輪仏頂王(いちじきんりんぶっちょうおう)」、「大金輪明王(だいきんりんみょうおう)」、「金輪仏頂(きんりんぶっちょう)」、「奇特仏頂(きとくぶっちょう)」、「一字頂輪王(いちじちょうりんのう)」などの名でも呼ばれる。また「翳迦訖沙羅烏瑟尼沙斫訖囉(えいかきしゃらうしつにしゃしゃきら)」と音写する。
種字「भ्रूं(bhrūṃ)=勃嚕唵」の一字のみを真言とし、仏頂尊中、また輪王中において最頂・最高であることをもっての尊名だとされる。一字金輪仏頂は大日如来の仏頂と釈迦如来の仏頂とに分類され、それぞれ俗に「大日仏頂(だいにちぶっちょう)」、「釈迦仏頂(しゃかぶっちょう)」と呼ばれる。大日金輪は金剛宝冠を戴き輪鬘を首飾りとし装身具で身を飾り智拳大印を結び白蓮台に坐す。釈迦日輪は須弥山上の八葉白蓮華に螺髪で結跏趺坐し定印を結ぶ。
印相は智拳印ないし智向前印、種字、真言は前述のように「भ्रूं(bhrūṃ)=勃嚕唵(ぼろん)」。
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一字金輪
「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v02p007
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
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北斗法
「諸尊図像鈔(写)(しょそんずぞうしょう)」(不明)より
ページ:v11p031
著者不明
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domainいわゆる星曼荼羅、北斗曼荼羅と呼ばれる北斗法に使われる曼荼羅。
第一院中央主尊に一字金輪仏頂と右側に難陀竜王、左側に跋難陀竜王を配す。
第一院の四隅、四辺および一字金輪仏頂のすぐ下の仏尊は九曜で、それぞれ土曜(中央)、水曜ないし「北辰(ほくしん)」(上辺)、日曜(右上)、月曜(左上)、木曜(右辺)、金曜(左辺)、火曜(下辺)、羅睺曜(右下)、計都曜(左下)を配す。
第一院の下部には北斗七星(輔星も合わせれば八星)で、左から貪狼星、巨門星、禄存星、文曲星、廉貞星、武曲星(その上に「輔星(ほしょう)」)、破軍星を配す。
第二院は十二宮で、下辺中央から反時計回りに師子宮、女宮、秤宮、蝎宮、弓宮、摩竭宮、瓶宮、魚宮、羊宮、牛宮、男女宮、蟹宮を配す。
第三院は二十八宿で左編中央より反時計回りに昴宿、畢宿、觜宿、参宿、井宿、鬼宿、柳宿、星宿、張宿、翼宿、軫宿、角宿、亢宿、氐宿、房宿、心宿、尾宿、箕宿、斗宿、牛宿、女宿、虚宿、危宿、室宿、壁宿、奎宿、婁宿、胃宿を配す。
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一字金輪佛頂
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 地之巻」より
国立国会図書館蔵
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