大威徳明王

大威徳明王だいいとくみょうおう

Yamāntaka

仏教における明王の一。インドの「ヤマーンタカ(Yamāntaka)」が仏教に取り入れられたもの。音訳では「閻曼徳迦(えんまんとっか/えんまんとっきゃ)」と呼ばれる。また「ヤマーンタカ」は「ヤマ閻魔を倒した者」という意味なので「降閻魔尊(ごうえんまそん)」あるいは「降夜魔尊(ごうやまそん)」とも呼ばれる。さらに六面六足あることから「六面尊(ろくめんそん)」、「六足尊(ろくそくそん)」と呼ばれることもある。

五大明王の一人で、本地は阿弥陀如来あるいは文殊菩薩とされ、また十二神将摩虎羅大将の本地でもある。西方を守護し毒蛇や悪竜を調伏させる、戦勝を祈る神として信仰された。六面六臂六足で体が青黒く忿怒形をとるが、この姿は六趣(六種の輪廻する行き先)を清め、六度(六種の善行)を満たし、六道を成すためだという。持物は左三手に戟と弓と索、右三手に剣と箭(矢のこと)と宝棒を持つとされるが弓と箭が省略され余った手で印を結ぶ姿の像が多い。また多く水牛に乗っている姿で表される。胎蔵界曼荼羅では持明院に、金剛界曼荼羅では降三世会に配される。

密号は「大威徳金剛(だいいとくこんごう)」、「持明金剛(じみょうこんごう)」、種字は「भ(bha)」、「हः(haḥ)」、「ह्रीः(hrīḥ)」、「हूं(hūṃ)」、「मं(maṃ)」、「ष्ट्रि(ṣṭri)」、印相は独鈷印、真言は「曩莫三滿多嚩日羅赧唵紇唎瑟置唎尾訖哩多那曩吽薩嚩設咄㖮娜捨野薩擔婆野沙擔婆野娑叵吒娑發吒娑嚩賀」(大威徳金剛真言・T0852)、「唵瑟致唎迦攞嚕跛吽欠娑嚩賀(おんしちりきゃらろはうんけんそわか)」、三昧耶形は宝棒、利剣、輪、独鈷。

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  • This Page Last Updated: 2022-02-08