乾闥婆けんだつば
Gandharva
ヒンドゥー教の半神族ガンダルヴァが仏教に取り入れられたもの。「乾闥婆」は「ガンダルヴァ(Gandharva)」の音写であり、他に「健達縛」とも書く。また意味による訳から「尋香行(じんこうぎょう)」、「食香(じきこう)」などとも称する。乾闥婆は四有(人が生まれて生まれ変わるまでに体験する四つの状態)のうち、中有(死んで生まれ変わるまでの肉体がない状態)の身とされ、時期が来るまでの間、香を食べて過ごすとされている。「食香」の名はここから。また乾闥婆は、仏法を守護するとされる天竜八部の一部を成す部族である。帝釈天の眷属で伎楽を司るとされ、いつもは山中に住むが時に帝釈天の住まう忉利天まで降りてきて楽を奏するという。また他にも観音三十三応現身(→観音菩薩)の一身として、あるいは千手観音の眷属である二十八部衆の一部衆としても知られている。
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乾闥婆王(けんたつはわう)
「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v04p006
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain觀音廾八部衆(→二十八部衆)の一尊として
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十五童子供
「諸尊図像鈔(写)(しょそんずぞうしょう)」(不明)より
ページ:v11p028
著者不明
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain童子経曼荼羅の図像。
栴檀乾達婆神王(乾闥婆)は冥官のような甲冑姿で石上に右足に右腕を置き左手に戟を持ち牛頭を頭上に戴く。
戟には十五鬼神の首が刺さっており、また周囲を十五鬼神が囲んでいる。
その内訳は、彌酬迦(牛の様な姿)、彌伽王(獅子のような姿)、騫陀(鳩摩羅天のような姿)、阿波悉魔羅(野狐のような姿)、牟致迦(獼猴(びこう=猿のこと)のような姿)、魔致迦(羅刹女のような姿)、閻彌迦(馬のような姿)、迦彌尼(婦女のような姿)、黎婆坻(狗のような姿)、富多那(猪のような姿)、曼多難提(子猫のような姿)、舍究尼(鳥のような姿)、揵吒波尼尼(雉のような姿)、目佉曼荼(獯狐のような姿)、藍婆(蛇のような姿)。
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乾闥婆神
「神佛図會」より
国立国会図書館蔵
Copyright: public domain