仏眼仏母ぶつげんぶつも
Buddhalocanā, Buddhalocanī
仏教における一尊。如来の眼自体を神格化したものであり、眼に備わる、智を無限に生む功徳を三世諸仏の母としてとらえたもの。サンスクリット名を「 ブッダローチャナー(Buddhalocanā)」ないし「ブッダローチャニー(Buddhalocanī)」といい、仏眼仏母のほか、「一切仏眼大金剛吉祥一切仏母(いっさいぶつげんだいこんごうきちじょういっさいぶつも)」、「仏眼尊(ぶつげんそん)」、「仏眼(ぶつげん)」、「遍知眼(へんちげん)」、「仏眼母(ぶつげんも)」、「仏眼部母菩薩(ぶつげんぶもぼさつ)」などの意味訳、「勃陀嚕沙那(ほだろしゃな)」などの音写が見られる。大日如来、釈迦如来、金剛薩埵のそれぞれに由来する3種の仏眼仏母が存在する。
大日如来の所変とされる仏眼仏母は、「虚空眼菩薩(こくうげんぼさつ)」、「虚空眼仏母菩薩(こくうげんぶつも)」とも呼ばれ、胎蔵界曼荼羅遍知院に配される。密号は「殊勝金剛(しゅしょうこんごう)」、種字は「ग(ga)」、「गं(gaṃ)」、三昧耶形は仏頂眼。釈迦如来の所変とされる仏眼仏母は、「能寂母(のうじゃくも)」、「一切如来宝(いっさいにょらいほう)」とも呼ばれ、胎蔵界曼荼羅釈迦院に配される。密号は「実相金剛(じっそうこんごう)」、種字は「क(ka)」、「त(ta)」、三昧耶形は仏頂眼ないし蓮華上如意。金剛薩埵の所変とされる仏眼仏母は、瑜祇經に説かれるもので一字金輪仏頂と同体とされる。
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佛眼佛母
「増補諸宗 佛像図彙(ぞうほしょしゅう ぶつぞうずい)」(1900)より
ページ:v02p007
土佐秀信著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain
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仏眼
「諸尊図像鈔(写)(しょそんずぞうしょう)」(不明)より
ページ:v11p016
著者不明
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domain仏眼仏母曼荼羅。仏眼仏母を中心に、第一列の八葉に一切仏頂輪王と七曜の天女相(日曜、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜、土曜)を下部から時計回りに、第二列の八葉に金剛薩埵(金剛手)、観自在菩薩(→観音菩薩)、虚空蔵菩薩、金剛拳菩薩、文殊師利菩薩(→文殊菩薩)、纔発心転法輪菩薩、虚空庫菩薩、摧一切魔菩薩を下部左から時計回りに、第三列に歩擲明王、降三世明王、大威徳明王、大咲明王(→軍荼利明王)、大輪明王、馬頭明王(→馬頭観音)、無能勝明王、不動明王を下部から左回りに、また四隅に内四供養菩薩(金剛嬉菩薩、金剛鬘菩薩、金剛歌菩薩、金剛舞菩薩)を左下から時計回りに、外院には四隅に外四供養菩薩(金剛香菩薩、金剛華菩薩、金剛燈菩薩、金剛塗香菩薩)を左下から時計回りに、四方に四攝菩薩(金剛鉤菩薩、金剛索菩薩、金剛鎖菩薩、金剛鈴菩薩)を下部から時計回りに配する。
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佛眼佛母
「大正新脩大藏經図像部 第1巻」
「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より
大蔵出版
©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0)胎蔵界曼荼羅の遍知院における図像。