閻魔

閻魔えんま

Yama

仏教において地獄を支配する王。同訓で「焔魔」、「炎摩」などとも書く。これはヒンズー教の「ヤマ(Yama)」の音訳で他に「夜摩(やま)」、「夜魔(やま)」とも音写する。また意味よりの訳で「遮止(しゃし)」、「静息(せいそく)」とも称する。さらにヤマは「ヤマラージャ(Yamarāja)」とも称することから「閻魔王(えんまおう)」、「閻魔大王(えんまだいおう)」、「閻魔羅社(えんまらしゃ)」略して「閻羅(えんら)」とも呼ばれる。他に「死王(しおう)」と呼ばれたり、双生児であることから「双(そう)」と呼ばれたり、天部(→)の一員として「閻魔天(えんまてん)」、「焔摩天(えんまてん)」、「夜魔天(やまてん)」と呼ばれることもある。人類最初の死者であり、元々は天上にある楽園の支配者とされていたが、時代が下るにつれ恐ろしい容貌と性格を持つ冥界の君主とされるようになった。

赤い着物を纏い手に方杖と縄を持ち、「王」の字が書かれた冠を戴いた姿で表されることが多い。十王と呼ばれる死者を裁く十人の判官の一人とされる(単に閻魔王のみを十王と呼ぶ場合もある)。生前の人間の行動は全て彼のもつ「閻魔帳」と呼ばれる帳面に書き綴られており、閻魔はこれにより死者の行く先を決めるとされる。また閻魔天としての閻魔は八方天、あるいは十二天の一尊として南方を守護する欲界六欲天の第三天(おなじく「夜魔天」と呼ばれる)の支配者であり、温和な顔で表現される。

胎蔵界曼荼羅では外金剛部院の南方(右側)に后の一人である黒闇天を伴った姿で描かれ、またその下部には泰山府君や死鬼衆、鬼衆(→毘舍闍)、鬼衆女など多くの配下が描かれる。閻魔と黒闇天、泰山府君はそれぞれ人頭杖を持った姿で描かれるが、これは「檀拏幢(ないし檀荼幢)」とも呼ばれ双頭でも描かれる。双頭の場合、片方が女性の頭で黒闇天を、もう片方が男性の頭で泰山府君を象徴するものでそれぞれ死者の生前の善行と悪行を閻魔に報告するという。

種字は「क(ka)」、「वै(vai)」、「यं(yaṃ)」、印相は檀荼印、真言は「唵焔摩耶娑嚩訶(おんえんまやそわか)」、「唵閻摩羅闍烏掲羅鼻利耶阿掲車娑縛賀(おんえんまらしゃうからびりやあかしゃそわか)」、「唵吠嚩娑嚩哆也娑嚩賀(おんべいばしゃばたやそわか)」、三昧耶形は檀拏幢、人頭棒。

画像
閻魔の画像[1]サムネイル
閻魔の画像[2]サムネイル
閻魔の画像[3]サムネイル
閻魔の画像[4]サムネイル
閻魔の画像[5]サムネイル
閻魔の画像[6]サムネイル
閻魔の画像[7]サムネイル
地域・カテゴリ
キーワード
文献
  • This Page Last Updated: 2022-03-25