少名毘古那神

少名毘古那神

すくなびこなのかみ

日本記紀神話に登場する小さな体の神。「びこな」は「ひこな」とも読む。「少彦名命/宿奈毗古奈命/須久奈比古命(すくなびこなのみこと)」、「少足命(おだりのみこと)」とも呼ばれる。神名は大国主神の別名である「大穴牟遅神(おおなむじのかみ)」に対応しており、「オオナムチ」が大きな国土の主といった意味であるのに対し、「スクナビコ」は小さな国土の主といった意味に解されている。従って二人がそろって登場する段では大国主神は「オオナムチ」の神名で表記されている。

神産巣日神、あるいは高御産巣日神の多くいた子の一人とされ、父神の手の間からこぼれて海のかなたにあるとされる異郷「常世郷(とこよのくに)」に落ち、そこで暮らしていた神であるという。ある時、大国主神が御大の御先にいたら、波間より「天羅摩船(あめのかがみぶね=ががいもの実を割って作った舟)」に乗り、鵞(がちょう。蛾の意と思われる)の皮の服を着た小人の神がやってきた。この神が少名毘古那神で、二人は兄弟の契りを結び、お互いに助け合って国づくりを成し遂げたという。少名毘古那神は多くの知識に通じており、病を除く法、虫害や鳥獣の害を除去する法、また酒造技術や農耕技術を日本に普及させた神とされている。特に医療と薬、温泉の神として信仰され、江戸時代には中国の医療神神農と一緒に祀られた。国づくりをやり終えた少名毘古那神は、粟の茎に登り、茎のしなる反動を利用して常世郷に飛んで帰っていったとされる。

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  • This Page Last Updated: 2016-01-13