ユピテル
Jupiter
ローマ神話における最高神で、ユノ、ミネルワとともに合祀される三大守護神格の一柱。天空を司り、ギリシア神話のゼウスに相当する。語源的にもこの両親の名はインドのディヤウスなどとも一致し、インド=ヨーロッパ語族に共通する天空神の名を継承したものである。ゼウス同様、雷を武器にし、高天から無量の魔術を行使しつつ世界を支配し、秩序と正義を維持する主権神。ラティニウムの王の娘ユトゥルナの恋してしまったユピテルはニンフ達にユトゥルナを捕まえてきてくれと頼んだ。しかしララだけこれを拒み、ユトゥルナに知らせ、ユノにまで訴えた。これを怒ったユピテルはララの舌を抜いてしまい、息子のメルクリウスにララを冥界へと連れ去るように命じた。しかしメルクリウスはララに恋してしまい、二人は森の中で結ばれた。
マルス及びクイリヌスとともに、大フラメンと呼ばれる特別な神官を有し、元来はこの3神がローマにおいての三大主神格の地位を占めていたと考えられる。とくにユピテルの司祭はフラメン・ディアリスと呼ばれ大フラメンの中でも最も地位が高く、大きな神殿がローマのカピトリウムの丘に建てられた。この神殿は共和制ローマの初期に「ユピテル・オプテムス・マクシムス(至善至高のユピテル)」に捧げられたものである。