水天

水天すいてん

Varuna

インド神話における水の神「ヴァルナ(Varuṇa)」が仏教に取り込まれ、漢字に意訳されたもの。水天のほか、「水神(すいじん)」、「河神(かじん)」、「水王(すいおう)」などの名前でも呼ばれる。またヴァルナを音写して「嚩嚕拏(ばろな)」、「嚩嚕陀(ばろだ)」、「婆楼那(ばろうな)」、「婆楼那天(ばろうなてん)」、「婆留那(ばるな)」などの名称でも呼ばれる。

水を司るその性格から竜の姿をしていると考えられ、龍王(ナーガラージャ)の一人として諸龍王の主であるともされ、「嚩嚕拏龍王(ばろなりゅうおう)」、「婆留拏龍王(ばるなりゅうおう)」などの名前も持つ。地水火風の四大天のうちの一尊であり、また十二天の一人として西方を守護し、水難を退け水の恵みを与えるとされる。旱魃や飢饉に際して雨乞いを行う「水天供法(すいてんくほう)」の本尊であり、 色々な姿で表されるが、多く羂索(獲物を捕らえる網)手に持ち、一般的に五匹の龍の描かれた冠を頂き、亀などの水棲動物の背に乗る姿で表される。胎蔵界曼荼羅の外金剛部院の西方(下部)には、水天妃と水天妃眷属を伴う像、及び水天眷属のみ伴う像の二つの像が配される。また金剛界曼荼羅では二十天の一人として外金剛部の北方(右側)に配される。

種字は「अ(a)」、「मे(me)」、「न(na)」、「व(va)」、印相は龍索印、鉢印、真言は「唵嚩嚕拏耶娑嚩訶(おんばろだやそわか)」、三昧耶形は羂索、索。

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  • This Page Last Updated: 2021-07-20