クヌム

クヌム

Khnum

古代エジプトにおいて人類を創造したとされる神。「フヌム(Hnmw)」とも呼ばれる。配偶神はサテトアヌケト、あるいはヘケトなど。カタラクト(瀑布地帯)の神でナイル川を象徴し、多産と創造の神とされる。南エジプトで信仰され、主聖所は象牙の島(エレファンティネ)にあり、配偶神とともに祀られた。角を生やした雄羊の頭を持つ男、あるいは雄羊そのもので表現される。ろくろの前に座った姿で描かれることが多い。太陽神レーが信仰されるより古くからの神で、クヌム信仰においてはこの神こそが創造神であり、他の神々やナイル河を含め全てのものを創ったとされた。恐らくナイル川の氾濫によって運ばれる泥土を象徴する神であり、肥沃な大地=豊穣や陶芸・陶器を司る神とされる。土をこね、ろくろを使って人間や動物を作ったといわれる。またナイル川の源流を守る水番であり、ナイル川の増水を司っているとも考えられた。普段は温和だが、怒ると恐ろしい神であり、アスワン付近にあるナイル河の急流地帯に棲んでおり、ナイル川の水量を調節し、洪水や旱魃さえ意のままに起こすことが出来たという。また、ヌビアの神ドゥーンドゥーンはクヌムと一体化するに至っている。

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  • This Page Last Updated: 2015-12-15