虚空蔵菩薩

虚空蔵菩薩こくうぞうぼさつ

Ākāśa-garbha

仏教において地蔵菩薩に対する空を司る菩薩。サンスクリット名を「アーカーシャガルバ(Ākāśa-garbha)」、あるいは「ガガナガンジャ(Gaganagañja)」といい「アーカーシャ」とは「広がった空間」や「大気」、「ガルパ」は「母胎」や「子宮」、「包容するもの」などを意味する。また「ガガナ」は「大気」や「空」、「ガンジャ」は「蔵」や「倉庫」を意味する。これらを意味訳して「虚空蔵菩薩」、「虚空孕菩薩(こくうようぼさつ)」と称するほか、「阿迦捨蘗婆(あかしゃぎゃば)」などと音写する。虚空とは広大無辺であることを示し、その名前通り、限りない知恵と慈悲を人々に与え願いを満たすとされる。虚空蔵菩薩の真言を100日(あるいは50日)の間に100万回唱えることが出来れば、「自然智(じねんち)」と呼ばれる見聞きしたことを忘れない力に目覚めるとされた。この行法は「求聞持法(ぐもんじほう)」と呼ばれ、虚空蔵菩薩は求聞持法の本尊として信仰を受けた。胎蔵界曼荼羅においては虚空蔵院の主尊として中央に配され、五仏宝冠を戴き宝珠のついた蓮華をもった姿で表される。また釈迦院においても釈迦牟尼の侍尊として配される。金剛界曼荼羅では賢劫十六大菩薩中の一尊として檀外の南方(左側)の4尊のうち東(下)から三番目に配される。さらに単体で描かれるほか、虚空蔵菩薩の持つ智慧を五方に配し、金剛界五仏の変化身とした「五大虚空蔵菩薩」の姿でも表される。

種字は「आ(ā)」、「ई(ī)」、「ओं(oṃ)」、「त्राः(trāḥ)」、「त्रां(trāṃ)」、密号は「如意金剛(にょいこんごう)」(胎蔵界虚空蔵院)、「無尽金剛(むじんこんごう)」(胎蔵界釈迦院)、「富貴金剛(ふきこんごう)」、「円満金剛(えんまんこんごう)」(金剛界)、三昧耶形は宝剣、利剣、宝珠、真言は「南麼三曼多勃馱喃(なうまくさまんだぼだなん)阿迦奢參麼哆弩蘗多(あきゃささんまんだどぎゃた)微質怛㘕嚩囉達囉(びしったらんはらたら)莎訶(そわか)」(T0848)、「南牟(なうぼ)阿迦捨(あきゃしゃ)掲婆耶(ぎゃらばや)唵(おん)阿唎(あり)迦麼唎(きゃまり)慕唎(ぼり)莎嚩訶(そわか)」(求聞持法・T1145)

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  • This Page Last Updated: 2022-02-25