布刀玉命
ふとだまのみこと
日本記紀神話における祭祀を司る神で五伴緒神の一人。「ふとたまのみこと」とも読む。「布刀玉命」は古事記での表記で、日本書紀では同訓で「太玉命」、或いは「太玉(ふとだま)」と記されている。また「天太玉命(あめのふとたまのみこと/あめのふとだまのみこと)」(先代旧事本紀、新撰姓氏録)、「太玉神(ふとたまのかみ/ふとだまのかみ)」などの名でも呼ばれる。天照大御神が天石屋戸(あめのいわやど)にこもったとき、祭祀用の玉や鏡、幣(ぬき)などを造った神。布刀玉命がこれらをつけた榊をいただき奉り、天之児屋命が祝詞を奏上した。また五伴緒神の一人として天孫邇邇藝命の天降りに随伴したとされる。曲玉、管玉などの神聖な玉をつけて祭祀に携わる神であり、玉そのものを司る神は玉祖命とされる。
「先代旧事本紀」や「新撰姓氏録」に拠れば親は高御産巣日神であり、また「豊石窓神(とよいわまどのかみ)」、「櫛石窓神(くしいわまどのかみ)」、「大宮売神(おおみやのめのかみ)」などの親神、「天富命(あめのとみのみこと)」の祖親とされる。祭祀に関わっていた忌部氏(いんべうじ)の祖神とされており、島根県松江市東忌部町にある「忌部神社(いんべじんじゃ)」や千葉県館山市大神宮にある「安房神社(あわじんじゃ)」、香川県観音寺市にある「粟井神社(あわいじんじゃ)」、奈良県橿原市忌部町にある「天太玉命神社(あめのふとたまのみことじんじゃ)」などの主祭神として祀られるほか、数々の神社に祀られる。またこのうちの神社の幾つかでは后神とされる「天比理乃咩命(あめのひりのめのみこと)」とともに祀られる。