シュー

Shu

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説明

エジプト神話における大気の神で、ヘリオポリスの九柱神の一柱。神名は「空虚」、「上に支える者」などの意と考えられている。妻である湿気の女神テフヌトとともに、最高神レー(ラー・アトゥム)の口から唾もしくはくしゃみとして誕生した。エジプト神話の最初の夫婦神であり、後に二人はゲブヌートをもうける。レーのもとを去ったシューとテフヌトは、時が始まったその瞬間から存在するという深淵ヌンの探検に出かけた。レーは子供を失ったと思い大いに悲しんだ。それだけに2人が戻ってきた時の喜びはひとしおで、レーの目からうれし泣きの涙がほとばしり出たという。そしてこの涙から最初の人間が誕生した。シューはレーを継いで王位に上るが、アペプの崇拝者達の攻撃に絶えず悩まされていたためうんざりし、自分は天界に退き、息子のゲブに王位を譲った。

大気、ひいては大気の動きによってできる風や雲を司る神であり、さらに聴覚と人間の思考を支配する神であるとされる。レーは太陽の舟に乗って毎日空を回ることによって大地を照らすとされるが、レーに生命の息吹を吹き込んで毎日レーを生き返らせるのはシューの役目だとされた。大地であるゲブと天であるヌートを引き離す形で、大地(ゲブ)の上に立ち天(ヌート)を支えた姿で三神一体で描かれることが多い。トゥトアンクアメン王墓から発見された象牙製の枕はこのイメージを継承して枕を支えるシューの像がデザインされている。シューは普通人間の姿で描かれるが、レーの息子としてライオンの頭部を持つ獣頭人身の姿で描かれることもある。

関連項目

キーワード

参考文献

  • 01
    西洋神名辞典 DICTIONARY OF GODDESSES AND GODS
    • 監修:山北篤
    • 著者:稲葉義明、桂令夫、他
    • 発行者:高松謙二
    • 発行所:株式会社新紀元社
  • 07ヴィジュアル版
    世界の神話百科『東洋編』 エジプトからインド、中国まで
    • 監修:近藤二郎、中村忠男、前田龍彦
    • 著者:レイチェル・ストーム
    • 翻訳:山本史郎、山本泰子
    • 発行者:成瀬雅人
    • 発行所:株式会社原書房
  • 30Truth In Fantasy 64
    エジプトの神々
    • 著者:池上正太
    • 発行者:高松譲二
    • 発行所:株式会社新紀元社

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