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説明
ヒンドゥー教における猿の姿をした神。字義は「顎骨を持つ者」。学問の守り神にして、風神ヴァーユの息子。ある物語によれば、ハヌマーンはある時、空から太陽を取ってこようとした。太陽を食べ物と間違えたらしい。悲劇を避けるため、戦いの神インドラは稲妻を猿に向かって放ち、その顎を打ち砕いた。
ヒンドゥー教の叙事詩「ラーマーヤナ」ではハヌマーンは猿の王スグリーヴァの使いであり、宇宙の守護神ヴィシュヌのアバターラ(化身)であるラーマの忠実な味方であり、鬼神ラーヴァナと戦うラーマに加勢した。ラーヴァナはラーマの妻シーターを連れて逃げ去った。シーターの居所をラーヴァナ国のある島ランカー(現在のスリランカ)で見つけたのはハヌマーンの手柄であった。
ハヌマーンは並外れて俊敏であり、海の上を矢のように飛んでシーターの元へと向かった。しかし飛んでいる最中にラーヴァナの妹シュールバナカーが彼の影をつかみ、水面の下に引きずり込んだ。そこにはもう一人の鬼神が待ち受けていたが、ハヌマーンは機転をきかしてこれから逃れた。やがてハヌマーンはシーターを木立の中で見つける。ラーヴァナは毎日シーターに向かって自分と結婚しなければ痛い目にあうか、さもなくば死ぬと脅していたが、シーターは屈しなかった。そんなシーターをハヌマーンは担ぎで上げてラーマの元に帰ろうとしたが、シーターは夫以外の男には触れないと断った。やむなくハヌマーンはシーターを発見したことをラーマに告げに戻ろうとしたが、これを見つけたラーヴァナとその一味はハヌマーンの尾に火をつけた。しかし彼はそれをものともせずに反対に尾を左右に振り回して暴れ回り、数多くの建物に火をつけて、ランカーの島に大きな被害を与えたのだった。
インドに戻ったハヌマーンは配下の猿の軍団に命じて、インドからランカー島まで橋をかけさせた。ラーマとその軍勢はその橋を渡ってラーヴァナの元へとたどり着き、見事シーターの奪還に成功する。ラーマはハヌマーンの功績に報いて、彼に永遠の生を授けた。
ハヌマーンの体は山ほどの大きさがあるとされ、黄色の皮膚に赤ら顔、それにとてつもなく長い尾を持っているとされる。その唸り声は雷のようにとどろき、また激しい音を立てながら雲の中を飛んだとも言う。
西遊記の主人公である孫悟空はハヌマーンをモデルとしているとされる。
キーワード
参考文献
- 03幻想動物辞典 DICTIONARY OF THE MONSTER
- 著者:草野巧
- 編集:株式会社新紀元社編集部
- 発行者:高松謙二
- 発行所:株式会社新紀元社
- 07ヴィジュアル版世界の神話百科『東洋編』 エジプトからインド、中国まで
- 監修:近藤二郎、中村忠男、前田龍彦
- 著者:レイチェル・ストーム
- 翻訳:山本史郎、山本泰子
- 発行者:成瀬雅人
- 発行所:株式会社原書房