ショチピリ
Xochipilli
メソアメリカ中央部の善神。名前は「花の王」を意味し、「ショチピルリ」と発音することもある。花と魂の神として、また夏の象徴として、若々しいトナティウの姿をとる。若い太陽神ピルツィンテクートリの恵み深くやさしい側面を表すという。ピルツィンテクートリとともにアステカの夜の9つの時間を表すヨワルテウクティンの3番目であり、またアステカの暦日(センポワリ)の11日目である「オソマトリ(猿)」をつかさどる。また、センテオトルとも関係があり、「シンテオトル=ショチピリ」(トウモロコシ=花の王)の姿をとると、トナルテウクティン(昼の神々)の7番目となる。この神は外皮を剥ぎ取られた花で象徴される霊魂であり、赤ら顔の人物の姿をとる精霊としても表現される。トウモロコシ(メイズ)の収穫を保証するシンテオトル=ショチピリに対して人々を熱心に信仰した。また、アステカの官能の神アウィアテオトルは彼の化身である。
ショチピリは兄弟であるイシュトリルトンや、マクウィルショチトルとともに、健康と快楽と幸福を司る三柱を構成する。ショチピリがアステカの暦日(センポワリ)のうち11番目のオソマトリ(猿)を司るのは、こういった男性的な豊かさを象徴することに関係していると考えられる。ショチピリや他の同類の神々をあがめる儀式や祝祭では、大量のプルケ酒(リュウゼツランの一種から作られるアルコール飲料)が消費されたという。さらに、ショチピリはその配偶神、あるいは姉妹とされるショチケツァルとともにメキシコ盆地南部と西部の湖、とくにショチミルコのチナンパ(湖を区切り泥を中にためた田んぼ)住民に人気があり、その神像は花や蝶などで飾り立てられた。
おそらく古い先古典期から古典期にかけて汎アメリカ的に崇拝されていた神、つまり古典期の都市テオティワカンでとりわけ信仰され、肥満神として知られた神にとって代わったものだと考えられる。これはサポテカではキアベラガヨに相当する。
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ショチピリとショチケツァル(Xochipilli and Xochiquetzal)
1898
「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より
ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵
Copyright: public domain花を司る神である男神ショチピリ(左)と女神ショチケツァル(右)
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ショチピリ(Xochipilli)
1898
「ボルギア絵文書(Codex Borgia)」より
ロストック大学図書館(Universitätsbibliothek Rostock)蔵
Copyright: public domain