シャメン・エク
Xamen Ek
「ア・チクン・エク(Ah Chicum Ek)」とも呼ばれるマヤの旅人を守護する神。「シャメン」は北を意味するので、シャメン・エクは北極星の神だと考えられている。コデックス(絵文書)では、しばしば「黒い戦王」ないし「黒い星」エク・チュアとの関連が見られる。獅子鼻で頭に黒い斑点がある姿をしており、それゆえに猿面神とよく関連付けられ、マヤの暦日チュエン(猿の意)を司っている。その象形文字も猿の頭に似ており、「北」を示す。善神であり、チャクとともに現れる場合が多い。北極星としては、商人の守護神かつ案内人であり、マヤ人の遠距離交易網はマヤ文明において非常に重要であった。マヤ文化圏のユカタンやペテンと緯度を同じくする地域では、北極星は一年中位置を変えない星であった。そうしたシャメン・エクのとりなしと恩恵を求めるため、沿道に特別に設けられた祭壇に祈祷とポンの香(コパルの木の樹脂)が捧げられた。アステカのヤカテクートリに相当する。