除蓋障菩薩じょがいしょうぼさつ
Sarvanivāraṇaviṣkambhin
密教における菩薩の一尊。サンスクリット名「サルヴァニヴァーラナヴィシュカムビン(Sarvanivāraṇaviṣkambhin)」は「一切の障害を取り除く」といった意味があり、「除蓋障菩薩」、意味訳で「除一切蓋障菩薩(じょいっさいがいしょうぼさつ)」、「降伏一切障礙菩薩(ごうぶくいっさいしょうげぼさつ)」、「棄諸陰蓋菩薩(きしょおんがいぼさつ)」と称するほか、「薩嚩尼嚩囉拏尾沙迦毘(さらばにばらとひしゃきゃひ)」などと音写する。胎蔵界曼荼羅の除蓋障院の院主として院中央(東方(上方)より第五位)に配する。三障(煩悩障、法障、業障)を取り除き一切衆生を救う仏尊だとされる。その像容は左手に如意宝珠の載った蓮華を持ち、右手は刀剣無畏印を結んだ姿で表される。また胎蔵界曼荼羅の西端(下端)にも配されるが、これは日光菩薩の誤りだとされる。またこの場所に不思議恵菩薩を配する場合もあり、地蔵院と除蓋障院の尊数を揃えようとする過程で尊容の似た除蓋障菩薩、日光菩薩、不思議恵菩薩の三尊の混同が起こったものと思われる。
種字は「अः(aḥ)」、「आः(āḥ)」、密号は「離悩金剛(りのうこんごう)」、三昧耶形は宝珠、如意宝(三角火輪中宝珠)、印相は虚心合掌し小指、薬指、親指を掌に入れ、人差し指と中指で宝形にするもの、真言は「南麼三曼多勃馱喃(なうまくさまんだぼだなん)阿薩埵係哆弊嗢蘗多(あさとばけいたびゅどぎゃた)怛㘕(たらん)㘕㘕(らら)莎訶(そわか)」(T0848)、「南麼三曼多勃馱喃阿(なうまくさまんだぼだなんあく)」(除蓋障真言・T0848)。
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除蓋障菩薩
国訳秘密儀軌編纂局 編
「新纂仏像図鑑 地之巻」より
国立国会図書館蔵
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