ミンツチ
アイヌに伝わる河童に似た妖怪。「ミンツチカムイ」とも呼ばれる。また「ペポソコシンプク("水中を通る魔"の意)」とも呼ばれる。アイヌ神話において海から大勢の疱瘡(天然痘)の神が訪れた時、英雄神オキクルミはヨモギの草を十字に組んで作った六十一体の人形を疱瘡神と戦わせた。この動く人形は「チシナプカムイ」と呼ばれるが、疱瘡神と戦って水死したチシナプカムイがミンツチになったとされる。ミンツチは魚を支配するカムイだが、人間や牛馬を水中に引き込んで死なせたり、人に憑いたりといった本州の河童に似た行動も見せるという。東北地方では河童のことを「ミヅチ(水の精といった意味)」と呼ぶことがあるが、「ミンツチ」という呼称はこれが伝わったものだと思われる。従って元々の呼称は異なっており、「シリシャマイヌ("山側の人"の意)」と呼ばれていたという。
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