金剛童子

金剛童子こんごうどうじ

Vajrakumāra, Kaṇikrodha

仏教において仏尊の一つで金剛杵の威力を神格化した仏尊。明王部に属するとされる。サンスクリット名を「ヴァジュラクマーラ(Vajrakumāra="金剛の童子"の意)」ないし「カニクローダ(Kaṇikrodha="幼い忿怒"の意)」といい、「嚩日囉倶摩囉(ばじらくまら)」、「迦尼句路駄(かにくろだ)」、「迦抳矩嚕馱(かにくろだ)」などと音写する。また「金剛使者(こんごうししゃ)」とも呼ばれる。「青童子(せいどうじ)」と「黄童子(おうどうじ)」の区別がある。

青童子は「聖迦抳忿怒金剛童子経」(T1222)に説かれるもので金剛薩埵の化身とされ、像容は三目六臂の瑠璃色身、赤色の目で宝冠を戴き牙が上向きについており下唇を噛み、眉をしかめた忿怒相をとる。海から独身で湧出した仏尊とされ、海中宝山上の蓮華座を左足で踏み、右足は膝近くまで海中に没する。右手は金剛杵、棒、斧、左手に棒、金剛拳、剣を持つ。
黄童子は「倶摩羅儀軌」(T1223)に説かれるもので無量寿如来(→阿弥陀如来)の化身とされ、像容は二目二臂の肉色身、髪は逆立ち、若干忿怒相をとり、右手は下向きに軽く伸ばして施無畏印、左手は高く上げ三鈷杵を持つ。右足は青蓮華座を踏み左足は膝を曲げ空を踏む。
胎蔵界曼荼羅では金剛手院において金剛鎖菩薩の向かって右側に侍尊として配される。

種字は「हूं(hūṃ)」、密号は「事業金剛(じごうこんごう)」、三昧耶形は独鈷杵、三鈷杵、印相は独股印、真言は「曩謨 囉怛曩怛囉夜野 曩莫室戰拏嚩日囉播拏曳 摩賀藥乞灑細曩鉢多曳 怛儞也他 唵 迦抳度𩕳 吽 發吒娑嚩賀」(金剛童子根本真言・T1222)、「吽嚩日囉倶麼囉迦尼度尼吽吽泮吒」(T1223)。

画像
金剛童子の画像[1]サムネイル
金剛童子の画像[2]サムネイル
金剛童子の画像[3]サムネイル
金剛童子の画像[4]サムネイル
地域・カテゴリ
キーワード
文献
  • This Page Last Updated: 2022-03-15