伊都尾羽張神
いつのおはばりのかみ
日本記紀神話において刀剣を司る神。「古事記」では他に「天尾羽張神(あめのおはばりのかみ)」と記されている。「日本書紀」に登場する「稜威雄走神(いつおはしりのかみ)」と同一神と考えられる。名前の「イツ」は稜威(勢いの激しいこと)、「オハバリ」は「尾刃張(切っ先が張り出していること)」を意味する。「伊邪那岐命(いざなぎのみこと)」が「火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)」を斬り殺した時の刀である「十拳剣(とつかのつるぎ)」につけられた神名であり、この時飛び散った血から、「石拆神(いわさくのかみ)」、「根拆神(ねさくのかみ)」、「石筒之男神(いわつつのおのかみ)」、「甕速日神(みかはやひのかみ)」、「樋速日神(ひはやひのかみ)」、「建御雷之男神(たけみかづちのおのかみ)」などの神が生まれたとされる。
その後の段で、高天原の神々が「葦原中国(あしはらなかつくに)」を視察するために誰を遣わすかを相談している中で、伊都尾羽張神が候補として挙げられており、ここでは刀としてではなく神として扱われていることが分かる。結局視察は子神である建御雷之男神が遣わされることとなった。建御雷之男神が伊都尾羽張神の子神とされるのは前述のように刀(=伊都尾羽張神)で切った時の血から建御雷之男神が生まれたからである。これは「古事記」の話であり、「日本書紀」では稜威雄走神の子が甕速日神、甕速日神の子が熯速日神(=樋速日神)、熯速日神の子が武甕槌神(=建御雷之男神)と紹介されており、建御雷之男神は伊都尾羽張神から見て曾孫にあたる。