伊都尾羽張神

伊都尾羽張神

いつのおはばりのかみ

日本記紀神話において刀剣を司る神。古事記では他に「天尾羽張神(あめのおはばりのかみ)」と記されている。「日本書紀」に登場する「稜威雄走神(いつおはしりのかみ)」と同一神と考えられる。名前の「イツ」は稜威(勢いの激しいこと)、「オハバリ」は「尾刃張(切っ先が張り出していること)」を意味する。伊邪那岐命火之迦具土神を斬り殺した時の刀である「十拳剣(とつかのつるぎ)」につけられた神名であり、この時飛び散った血から、石拆神根拆神石筒之男神甕速日神樋速日神建御雷之男神などの神が生まれたとされる。

その後の段で、高天原の神々が「葦原中国(あしはらなかつくに)」を視察するために誰を遣わすかを相談している中で、伊都尾羽張神が候補として挙げられており、ここでは刀としてではなく神として扱われていることが分かる。結局視察は子神である建御雷之男神が遣わされることとなった。建御雷之男神が伊都尾羽張神の子神とされるのは前述のように刀(=伊都尾羽張神)で切った時の血から建御雷之男神が生まれたからである。これは古事記の話であり、日本書紀では稜威雄走神の子が甕速日神、甕速日神の子が熯速日神(=樋速日神)、熯速日神の子が武甕槌神(=建御雷之男神)と紹介されており、建御雷之男神は伊都尾羽張神から見て曾孫にあたる。

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  • This Page Last Updated: 2015-10-28