ブラック・アニス
Black Annis
スコットランド高地地方の妖精で人食いハッグ。真っ青な顔と鉄の爪、長く白い牙を持っている。また片目であるともいわれる。これまでに食べた人間や羊の骨が転がった洞窟の中に棲んでいる。ブラック・アニスの爪を研ぐ音は遥か彼方まで響き、これを聞いた昔の人々は子供を家に入れて扉を閉ざし窓に近づけないようにしたという。窓からすっと手を伸ばして子供をさらったり、或いは自分の住処の近くに生えている木の上で待ち伏せして通りすがりの人に襲いかかるという。非常に足が早く、外でその姿を見てしまった人はもう逃れようがない。しかし、その力は自分の血に依存しているとされ、ケガを負わすことが出来れば、傷の手当てをしに棲みかに帰ってしまうという。この地方では薬草の汁につけた猫の死骸(アニスと呼ばれる)をブラック・アニスに与える餌として町じゅう引き回すという恒例の行事がある。ブラック・アニスやジェントル・アニーといったハッグは全てケルトの女神ダヌからうまれたものだともされている。