カーマ

Kāma

地域・カテゴリ

説明

インド神話における愛の神。「カーマデーヴァ(Kāma-dēva)」とも呼ばれる。元々インド思想で「カーマ」とは(正しい)性欲や愛欲、善への衝動を指す言葉で、これが神格化されたもの。原初から存在した観念神であるため普通の神より高位に置かれる。真理の神「ダルマ(Dharma)」と信仰の神「シュラッダー」の子とされるが、ラクシュミの子とされたり、ブラフマーの神像から生まれたとされるときもある。官能の女神「ラティー(Ratī)」を配偶神とし、妖精アプサラスを支配する。オウムに乗り、5本の花の矢を持ち、花を飾ったサトウキビの弓につがえて人の心を射る。彼はパールヴァティーに頼まれシヴァの苦行を妨げようとしてシヴァの第3の目によって焼き殺されてしまう。それ以来「アナンガ( Anaṅga="体なき者")」と呼ばれるようになった。また、「マンマサ(Manmatha="心をかき乱すもの")」「マノーブー(Manobhū="心に生じるもの")」、「カンダルパ(Kandarpa="愛欲")」などとも呼ばれる。仏教に取り入られ、愛染明王に帰化する。

参考文献

  • 07ヴィジュアル版
    世界の神話百科『東洋編』 エジプトからインド、中国まで
    • 監修:近藤二郎、中村忠男、前田龍彦
    • 著者:レイチェル・ストーム
    • 翻訳:山本史郎、山本泰子
    • 発行者:成瀬雅人
    • 発行所:株式会社原書房

この項目のリッチレイアウト

カーマ

ソーシャルリンク