アイヌにおいて鹿の主とされたカムイ。名前は「魚の主のカムイ」の意。「ユカッテカムイ」とも呼ばれる。北海道において代表的な動物であり、またあまりにも多く生息していた鹿(ユク)は、カムイの顕現体として考えられることは無かったが(鹿の少ない宗谷地方の人々だけユクカムイを想定した)。しかし、鮭の主のカムイ(チェプコロカムイ)と同じく、鹿の数そのものにはアイヌ人も感銘を受けたらしく、人間に鹿を贈る鹿の主のカムイが想定された。それがユクコロカムイないしユカッテカムイである。神謡では、やはりチェプコロカムイと同じようにユクコロカムイの口よりこぼれた毛を撒くと鹿の群れとなるという。