トゥオニ
Tuoni
フィンランドの叙事詩「カレワラ」に登場する冥府の王。死んだ人間は彼と彼の妻トゥオネタルの支配する国「トゥオネラ(Tuonela)」に行く。国境には黒い黒い河が流れ、河の水面には白い白い白鳥がいる。トゥオネラのビールには蛙と蛇と得体の知れない気味の悪いものが入っていて、一名を「忘却のビール」と称し、これを飲むと生きていた時のことを忘れてしまい現世に戻れなくなるという。またトゥオネラの敷布団は焼けた石で、掛け布団は蛆虫の群れである。トゥオニとトゥオネタルの間には一人の息子と無数の娘達がおり、息子は鉤型に曲がった指を持ち、千尋のヤナ(魚を取る道具)を河に掛け渡して、どんな勇士も二度と地上に戻れないようにする(ただし英雄ワイナモイネンは川獺に変身することでこの罠をかいくぐった)。娘たちは病気と苦痛の女神達だが、一人だけ優しい娘もいて、トゥオネラの川辺でまだ生きている人に「こちらへくるな」と警告する。