泥田坊
どろたぼう
鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に見える妖怪。石燕と創作と見られる。頭に毛がなく、一つ目で(片目は爛れている)、指は三本しかない。泥の中に住んでいるので身体は黒く、地面から上半身を出して「田を返せ~、田を返せ~」と悲しげな叫び声をあげる。必死に働いて田を買いためた老人が、死後に道楽者の息子に酒代のために田を売り払われてしまったため、これを恨んで泥田坊になったという。
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泥田坊(どろたぼう)
「百鬼夜行拾遺(ひゃっきやぎょうしゅうい)」(1805)より
ページ:v01p011
鳥山石燕著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domainむかし北国に翁あり/子孫のためにいささかの田地をかひ置て寒暑風雨をさけず時々の耕作おこたらざりしに/この翁死してよりその子/酒にふけりて農業を事とせず/はてにはこの田地を他人にうりあたへれば/夜な々々目の一つあるくろきものいでて/田をかへせ々々とののしりけり/これを泥田坊といふとぞ