タルイス・テーグ
Tylwyth Teg
イングランドのウェールズ地方における妖精の種族名。「金髪族」の意。ディベト地方では「ダノン・バッハ・テーグ(Dynnon Bach Teg="小さな妖精族"の意)」、グラモーガン地方では「ベンディーズ・ア・ママイ(Bendith y Mamau="母親の祝福"の意)」と呼ばれる。ウェールズ地方の多くの妖精はタルイス・テーグに含まれ、山地や林の中にある空き地、湖にある島などに住んでいる。彼らは共同体を持っており、グイン・アップ・ニーズを王と戴いている。その大きさは30cmから2m長までと様々に言われているが、一様に非常に美しく、白い肌と輝くような金髪をもち、金髪の人間の前にしか姿をあらわさないとされる。たいてい緑色の絹でできたような丈の長い服をまとっている。
タルイス・テーグは人間の子供が好きで、母親が見ていない間に人間の赤ん坊を自分の赤ん坊と取り替えてしまう───いわゆる取替え子───をすることがある。また女のタルイス・テーグは人間の男と結婚することがあるが、たいてい約束事やタブーを男が侵すためにいなくなってしまう。人間達に対して概ね好意的であり、気に入った人間に対して幸運をもたらすことがある。彼らは料理好きで、パン焼き用の鉄板やミルクを入れる手桶などを人間に貸してくれたという話も残っている。また彼らからケーキを貰ったという話もあるが、このケーキは夜明けまでに食べ終わらないと毒キノコになってしまうという。多くの妖精と同じく音楽と踊りが大好きで、人間の音楽家が彼らの踊っているところに鉢合わせてしまうと、拘束していつまでも返してくれないとされる。そういった場合は鉄片やナナカマドの枝によって彼らを避けることができるという。