除悪趣菩薩じょあくしゅぼさつ
Sarvāpāyajaha
仏教において菩薩の一尊で賢劫十六大菩薩の一。サンスクリット名を「アパージャヤハ(Apāyajaha)」ないし「サルヴァーパーヤジャハ(Sarvāpāyajaha)」といい、「(一切の)害を取り除く」といった意味があるため、「除悪趣菩薩」のほか、「除一切悪趣菩薩(じょいっさいあくしゅぼさつ)」、「滅悪趣菩薩(めつあくしゅぼさつ)」、「破悪趣菩薩(はあくしゅぼさつ)」、「捨悪道菩薩(しゃあくどうぼさつ)」とも呼ばれる。また音写では「阿波夜惹賀(あはやじゃか)」と称する。一切衆生のため、衆生が悪趣(地獄道や餓鬼道、畜生道など、悪行を重ねたものが死後に向かう悪道)に向かうことを防ぎ正道へ向かうように導く菩薩とされる。金剛界曼荼羅では檀外の東方(下側)の4尊のうち南(左)から二番目に配される。その像容は右手、或いは両手で三鈷杵の載った蓮を持つ姿で表される。また胎蔵界曼荼羅では除蓋障院の上から二番目に配され、身色白黄色の菩薩形で左手は中指を曲げ親指に付け、残った指を伸ばし胸に当て、右手は与願印を結び赤蓮華に座す姿で表される。
種字は「ध्बं(dhbaṃ)」、「ध्वं(dhvaṃ)」、「भा(bhā)」、密号は「除障金剛(じょしょうこんごう)」(胎蔵界)、「普救金剛(ふくこんごう)」、「智満金剛(ちまんこんごう)」(金剛界)、三昧耶形は梵篋、樹枝、三鈷杵、印相は右手の親指を掌に横たえるもの、真言は「南麼三曼多勃馱喃(なうまくさまんだぼだなん)阿弊達囉儜薩埵馱敦(あびゅたらさとばだどん)莎訶(そわか)」(T0848)、「南麼三曼多勃馱喃特懵娑難(なうまくさまんだぼだなんとぼうしゃなん)」(除一切悪趣真言・T0848)。
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