サラマンダー
Salamander
ヨーロッパにおいて、炎の中を自由に動けるとされたトカゲに似た怪物の一種。ラテン語では「サラマンドラ(Salamandra)」と呼ばれる。中世の動物寓話集には「ディー(Dea)」や「ステリオ(Stellio)」といった名前でも紹介された。火山の斜面に棲んでいるとされ、「その分泌物が噛み傷を治す薬になる」、「触れた果物は全部毒が回ってしまう」、「獅子の口をふさぐことが出来る」などといったサラマンダーの色々な能力について説明が成されている。実際にヨーロッパでは石綿(繊維状の鉱物。当たり前だが石なので火に投じても燃えない)の布がサラマンダーの皮として売られていたという。また、サラマンダーの皮で作った服は、例え汚れても火に投じれば綺麗になるとされた(石綿を残してほこり等は全て燃えてなくなるため)。ただし、石綿から生じた塵は人体に有害である。
サラマンダーの図像はフェニックスなどと同様に紋章によく用いられる。極寒の海に生息するエケネイスはサラマンダーにとっての天敵であるとされた。錬金術師パラケルススはサラマンダーをエレメンタル(四大精霊)の一種族で四大元素のうち「火」を象徴する精霊だと考えた。
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サラマンドラ(Salamandra)
「動物寓話集(Bestiary Bodleian Library MS. Bodl. 764)」(1226–1250)より
ページ:f055r
著者不明
ボドリアン図書館(Bodleian Library)蔵
Copyright : public domain
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サラマンドラ(Salamandra)
「動物寓話集(ジェラルド・オブ・ウェールズのトポグラフィア・ヒベルニカからの追加を含む)(A bestiary with additions from Gerald of Wales's Topographia Hibernica)」(12世紀後半-13世紀前半)より
ページ:f033v
著者不明
大英図書館(British Library)蔵
Copyright : public domain
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ステリオ(Stellio)
「自然の魅力(Der naturen bloeme/The Flower of Nature)」(1350)より
ページ:f126rb
ヤーコブ・ファン・マールラント(Jacob van Maerlant)著
オランダ国立図書館(Koninklijke Bibliotheek/Royal Library of the Netherlands)蔵
Copyright : public domain
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サラマンドラ(Salamandra)
「自然の魅力(Der naturen bloeme/The Flower of Nature)」(1350)より
ページ:f126ra
ヤーコブ・ファン・マールラント(Jacob van Maerlant)著
オランダ国立図書館(Koninklijke Bibliotheek/Royal Library of the Netherlands)蔵
Copyright : public domain