オメテオトル

オメテオトル

Ometeotl

メソアメリカにおける最初の観念的な神。名前は、ナワトル語(トルテカとアステカの共通語)で「二倍の神」ないし「二重の神」を意味する。2つの神格を1人で体現し、しかも目に見える存在ではなく、両性具有的な二元性を表現した神格である。全ての神々の根源となる創造的なエネルギー源そのものであり、世界の様々な出来事、空や星を越えたところ、時間と空間の枠外に存在する。その場所は「オメヨカン(Omeyocan)=2つのものの場所」と呼ばれる宇宙の最高層にあたる13層目の天界であり、あらゆる二元性と対立概念────光と闇、行動と休息、動と静、音と静寂、秩序と混沌────などが存在するところであるとされる。

オメテオトルの男性的側面はオメテクートリ(シトラトナ、トナカテクートリ)、女性的側面はオメシワトルシトラリクエ、シラトリニクエ、トナカシワトル)として表され、オメテオトルはそれらを一体化する至高の存在と考えられた。しかし、こうした「第一原理」という考え方は日常一般に行われる宗教行為には抽象的過ぎており、アステカ(おそらくそれ以前の文化)の神官達によって、宇宙の定義や占いにおいて引き合いに出される存在だったと考えられている。アステカにおいて重要な役目をする4人の神、すなわちシペ・トテックケツァルコアトルウィツィロポチトリテスカトリポカらを生んだとされる。

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  • This Page Last Updated: 2016-01-14