朧車
おぼろぐるま
日本で平安時代に夜の都大路に現れたという妖怪。鳥山石燕の「今昔百鬼拾遺」に見えるが、他の文献には見当たらないので石燕の創作と見られる。牛車の形をしているが牛が引いておらず、前面の本来簾がかかっている場所には巨大な夜叉のような顔がついている。全体に半透明になっていてはっきりとした存在感は無い。月がかすんでいるような朧月夜に出現し、都大路をギシギシと音を立てて走り回るという。昔は貴族が祭り見物などをしに行くときは牛車で出かけよく見える場所にとめて見物した。この時牛車を止める場所を他の者と揉めることを「車争い」と言った。石燕によれば、朧車は車争いの遺恨が妖怪になったものだという。
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朧車(おぼろくるま)
「百鬼夜行拾遺(ひゃっきやぎょうしゅうい)」(1805)より
ページ:v02p003
鳥山石燕著
国立国会図書館(National Diet Library)蔵
Copyright : public domainむかし賀茂の大路をおぼろ夜に車のきしる音しけり/出てみれば異形のもの也/車爭の遺恨にや