二恨坊の火

二恨坊の火

にこんぼうのひ

日本の摂津国(現兵庫県と大阪府の境周辺)に出現したという怪火。高槻庄二階堂村(現在の茨木市星見町)に出現するもので、三月から七月の曇天の夜に現れ、鳥のように飛び回り樹木や家の棟に止まるものだという。この火をよく見ると炎の中に人の顔が見えるとされ、見物人が多い時は恥ずかしがるように飛び去ってしまうのだという。「諸国里人談」に拠れば日光坊という名の山伏が村長にその妻の病気を治すよう祈祷を頼まれ、引き受けたのち妻は快癒したが、村長に妻との密通を疑われ殺されてしまったことがあったという。祈祷の感謝をされず、なおかつ無実の罪を着せられて殺される、という二つの恨みを晴らすために日光坊が火になったものが「二恨坊の火」なのだという。「百物語評判」や「宿直草」では仁光坊という美男の僧が代官の妻の策略によって殺されて、恨みで火と化したもの(=仁光坊の火)と説明されている。また吹田村(現在の吹田市)には似た名前の「二魂坊火(にこんぼうのひ)」という怪火の伝承がある。

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  • This Page Last Updated: 2021-01-08