ナナブッシュ
Nanabush
スペリオル湖周辺に住むネイティブアメリカン、オジブワ族における超自然的存在。重要な文化英雄であり変換者。「マナブッシュ(Manabush)」、「マナボゾー(Manabosho)」、「ナナボゾー(Nanabosho)」、「ウェネボジョ」、「ウィナボジョ(Winabojo)」などの名称でも知られる。これはオジブワ文化全体における多様な派生言語に起因する。ウィサケジャック(ないしウィサカ)といった五大湖南部に住むアルゴンキン族の英雄や、北東沿岸部の英雄グルスカプなどと共通する特性をもつ。
北の景観にその特性を与えて多くの生き物を作り出し、悪のマニトゥと戦い、オジブワ族に彼らの文化を構成する決定的な要素をもたらしたという。ミディウィン(疾病を治すシャーマンの組織。五大湖周辺のアルゴンキン族やオジブワ族間に出来た、いわゆる秘密結社)に語られる創世神話では、ナナブッシュは大地から人を生み出したが、悪のマニトゥにさらわれ姿が見えなくなってしまう。だがやがて彼は怒鳴る者たちを創り、彼らに人々を守らせたとされている。またある伝承では、ナナブッシュ(ないしウェネボジョ)は自らカリブーに変身して死を装い、鳥や動物が自分の体を肛門を残して食べ尽くすことを許している。ところがヒメコンドルが舞い降りてナナブッシュの死体をむさぼっていると、頭が肛門にはまって抜けなくなってしまった。ナナブッシュはそこで腹筋を引き締めヒメコンドルを捕らえた。ヒメコンドルはナナブッシュがラクロスに興じている間に逃げ出すことが出来たが、肛門から頭を抜く際、こすれて赤剥けの、かさぶただらけで悪臭を放つ鳥となってしまった。
ナナブッシュ(ないし上にあげたその他の名前で呼ばれる者)は文化英雄であり、変換者であり、またトリックスターであるというようにその性格が高度に複雑化している。滑稽でありながら崇高であり、性欲旺盛で嫉妬深く、欲張りで誘惑に対する弱さを持っている。
- 地域・カテゴリ
-