金剛蔵王菩薩こんごうぞうおうぼさつ
Aṣṭottara-śata-bhuja Vajradhara
仏教における菩薩の一尊。より正しくは「一百八臂金剛蔵王菩薩(いっぴゃくはっぴこんごうぞうおうぼさつ)」。サンスクリット名「アシュトーッタラシャタブジャ・バジュラダラ(Aṣṭottara-śata-bhuja Vajradhara)」を漢訳したもので音写では「阿瑟吒多羅舍多部惹縛日羅馱落(あしたたらしゃたぶじゃばじらだらく)」と記される。「金剛蔵菩薩(こんごうぞうぼさつ)」と呼ばれる場合もあるが、金剛界曼荼羅の賢劫十六大菩薩中の金剛蔵菩薩とは区別される(同体とされる場合もある)。また蔵王権現を「金剛蔵王菩薩」と呼ぶ場合もあるがこれも別体である。宝生如来の正法輪身(衆生を導くために菩薩と化した姿)であり、また金剛薩埵の果徳(修行の結果得られる徳)を表現した、いわば金剛薩埵の化身仏でもある。像形は青黒色、十六面百八臂で独鈷、三鈷、輪、剣、宝珠などを手にした姿で現される。胎蔵界曼荼羅の虚空蔵院に千手観音に対するように大きく描かれる。
密号は「秘密金剛(ひみつこんごう)」、「持教金剛(じきょうこんごう)」、「立験金剛(りっけんこんごう)」、種字は「हूं(hūṃ)」、印相は金剛羅闍一切見法印、真言は「唵跋折路波婆夜莎訶(おんばざろばんばやそわか)」、三昧耶形は五股杵。
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一百八臂金剛蔵王菩薩
「大正新脩大藏經図像部 第1巻」
「大悲胎藏大曼荼羅 仁和寺版」より
大蔵出版
©大蔵出版及びSAT大蔵経データベース研究会(Licensed under CC BY-SA 4.0)胎蔵界曼荼羅における図像。百八臂とされるものの実際に描かれている手は九十四臂。持物は三鈷杵、独鈷杵、輪、索、戟、剣、鉤、宝珠、梵篋、棒、花形杵など。