共工きょうこう
Kungkung
中国神話に登場する巨獣にして悪神、洪水神。洪水の「洪」の字は共工からきている。黒い竜、あるいは人頭蛇身の姿をしており、九つの頭を持つ人面蛇身の「相柳」や、後に淮水の神になったとされる「浮游」を従えている。ことあるごとに洪水を起こし、顓頊や堯といったその時代ごとの皇帝に反抗し、皇帝に成り代わろうとした。顓頊との戦いに敗れた共工は自分の角で不周山を串刺しにすることで大地の均衡を崩し、河を氾濫させようとした。さらに空に穴をあけ、太陽の動きを乱そうともした。このために中国の天地は傾き、天の星々は西北に移動し、大河は東南に流れるようになったと説明される。最終的に共工は夏王朝の始祖神である禹によって追放され、洪水は治められたという。
別の伝承によれば、共工と火神祝融はどちらが強いかを決める為に決闘をした。戦いは数日続いたが最後は双方とも天から落ち共工が負けた。そこで共工は敗北を恥じるあまり、天を支える山の一つである不周山に、頭からぶつかって死のうとした。結局死には至らなかったが、その衝撃で大きな欠けらが山からもげ、空に巨大な穴があき、大地にも大きな亀裂が幾つもあらわれて火と水が噴出し、大規模な洪水が世界の表面をほとんど覆い尽くしたという。水から逃れた少数の場所は火によって破壊されたともいう。女媧は川底から五色の石玉をたくさん拾い上げ、それを溶かして膠状にして天空の穴を修復し、さらに一匹の大亀の足を切り取って東西南北の支柱としたのだといわれる。
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