バール
Baal
グリモアに見られる悪魔・魔神。「バエル(Bael, Baëll)」、「バル(Bal)」、「バヤル(Bayal)」、「ベル(Bel)」などの名でも呼ばれる。フェニキア神話の豊穣神「バール(Ba'al)」が元となった存在で、「ゾハル」では天使ラファエルと同等視されるが、「レメゲトン=ソロモンの小さな鍵(Lemegeton Clavicula Salomonis/Lesser Key of Solomon)」の第1部「ゴエティア (Goetia)」や「悪魔の偽王国(Pseudomonarchia Daemonum)」ではソロモン王に封印されたとされる72柱の魔神の一人("ソロモンの霊")である。それに拠れば、東方を領し66の軍勢を率いる王とされ、猫、ヒキガエル、人間の姿、あるいはそれらの姿を同時にとるという。しわがれた声で話し、人間を透明にする力があるという。コラン・ド・プランシー(Collin de Plancy)の「地獄の辞典(Dictionnaire infernal)」ではバールとバエルは異なる存在として扱われ、バールは異教を主宰する邪神、バエルは王冠をかぶった人間と猫、ヒキガエルの頭を持った蜘蛛のような悪魔として描かれている。