エラテムー
西太平洋パラオのガラツマオというところに伝わる翼をもつ悪神。ガラツマオのはげ山には悪神が棲んでおり、空から舞い降りてきては人を食ったという。人々は恐れて山から遠いホルレイという村まで逃げたが、一人老婆が逃げ遅れた。老婆は洞窟に潜んで芋を食って生き延び、やがて二人の兄弟を生んだ。二人は立派に育ち、自ら家を建て、その家の屋根にトベヘルというマングローブの木の枝で罠を仕掛け、家の中で火を焚いた。するとエラテムーがやってきて屋根の上に止まり、案の定罠にかかった。兄弟はエラテムーが動けなくなったところを二人がかりでようやく殺し、そのヅルブクル(気嚢)をとって事の次第をホルレイで告げてくるように命じた。ホルレイの者がヅブルクルを拾って「お前は魚のヅブルクルか」と、また「獣のヅブルクルか」と聞いても答えない。最後に「悪心のヅブルクルか」と聞くとヅブルクルは沈んで石になった。
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