足名椎
あしなづち
日本記紀神話に登場する男神。配偶神である手名椎とともに櫛名田比売の親神。また大山津見神の子神の一人。足名椎は古事記での表記で、「日本書紀」では同訓で「脚摩乳」と記される。ほかに「脚摩乳命」、「足名椎命」、「足名槌命」、「足名稚命」、「足摩乳命」(どれも「あしなづちのみこと」と読む)、「脚摩乳大神(あしなづちのおおかみ)」などの表記もみられる。神名は「足を撫で慈しむ」といった意と考えられ、手名椎とともに親の慈愛を表現したものとなっている。もともと足名椎らの夫婦神には櫛名田比売を含め娘が八人いたが、毎年やってくる大蛇八岐大蛇に一人ずつ食べられてしまい、とうとう櫛名田比売一人になってしまった。彼らはそこへ来た須佐之男命に訳を話し、八岐大蛇を退治してもらった。その後、古事記によれば足名椎は須佐之男命から「稲田宮主須賀之八耳神(いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ)」という名を賜り須賀の宮の首(おびと=首長のこと)を任されることになったという(日本書紀では手名椎とともに「稲田宮主神(いなだみやぬしのかみ)」の名を賜ったとされる)。
京都府京都市東山区にある「地主神社(じしゅじんじゃ)」、三重県志摩郡磯部町にある「磯部神社(いそべじんじゃ)」、岡山県赤磐市和田にある「足王神社(あしおうじんじゃ)」、長崎県壱岐市郷ノ浦町にある「國津神社(くにつじんじゃ)」などに足名椎とともに祀られ、名前から足の病気などに効験があるともされる。