阿陀加夜努志多伎吉比売命

阿陀加夜努志多伎吉比売命

あだかやぬしたききひめのみこと

「出雲国風土記」に言及される姫神。「所造天下大神(あめのしたつくらししおおかみ)」、つまり大国主神の御子神とされる。同訓で「阿陀加夜奴志多岐喜比売命」、「阿陀加夜怒志多岐吉比売命」などの表記も見られる。また「阿陀加夜努志多伎吉毘売命(あだかやぬしたききびめのみこと)」、「多伎吉比売命(たききひめのみこと)」の名でも呼ばれる。出雲国風土記において神門郡多伎郷(現在の出雲市多伎町や湖陵町差海辺り)の地名の説明において、この神が坐すが故に「多吉(たき)」という地名であり後に「多伎」と字を改めた、とある。

神名の「タキキ」については諸説あるが(地名、氏族名あるいは"高津"の変化など)、「アダカヤ」は地名と思われ、風土記にも意宇郡の項に「阿太加夜社(あだかやのやしろ)」という社名が見える。また松江市東出雲町にある地名である「出雲郷」は現在も「あだかえ」と読み、元々の地名に「出雲郷」の字を宛てたものと考えられる。つまり阿陀加夜努志多伎吉比売命は元々は「阿太加夜」の場所の主(ぬし)で、他の場所でも祀られるようになったものと考えられる。

前述の阿太加夜社にあたる島根県東松江市出雲町の「阿太加夜神社(あだかやじんじゃ)」、出雲市多伎町の「多伎神社(たきじんじゃ)」や「多伎藝神社(たきぎじんじゃ)」、出雲市稗原町の「市森神社(いちもりじんじゃ)」に祭られる。

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  • This Page Last Updated: 2016-12-25