天甕津日女命

あめのみかつひめのみこと

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説明

「出雲国風土記」に登場する女神の一柱であり、赤衾伊努意保須美比古佐倭気能命の妃神とされる。出雲国風土記に拠れば秋鹿郡の伊農郷は天甕津日女命が出雲を巡り歩いていた時、この地で「伊農波夜(いぬはや=伊農よ、と夫神に呼びかけた)」と言ったので「伊農」という地名になったという。神名の「ミカ」とは水を入れる器であり、夫神やその親である八束水臣津野命とともに水に関係ある神だと考えられる。「尾張国風土記」の逸文には「多具国(たぐのくに)」の神として「阿麻乃弥加都比女(あまのみかつひめ)」という神が登場するが、多具国が多久郷(現出雲市多久町付近)を指すと考えれば、この両神は同体と思われる。また出雲国風土記において多宮村(たくむら)で多伎都比古命を産んだという天御梶日女命も本来は同神ではないかと考えられる。

赤衾伊努意保須美比古佐倭気能命とともに「伊努神社(いぬじんじゃ)」に祀られるほか、愛知県一宮市にある式内社「阿豆良神社(あずらじんじゃ)」において主祭神として祀られている。

参考文献

  • 23平凡社ライブラリー 328
    風土記
    • 翻訳:吉野裕
    • 発行者:下中直人
    • 発行所:株式会社平凡社

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