宇乃治比古命

宇乃治比古命

うのちひこのみこと, うのじひこのみこと

「出雲国風土記」に見える神。同訓で「宇能治比古命」、「宇能遅比古命」とも書く。須義禰命の子神であり、地名の由来譚として楯縫郡の沼田郷、及び大原郡の海潮郷の段に登場する。沼田郷は宇乃治比古命が「爾多(にた=美味)」の水で乾飯を"爾多に(=美味しく)"食べた地であることから「爾多(にた)」と呼ばれるようになり、これが訛り「沼田(ぬた)」となったという。また海潮郷は宇乃治比古命が父である須義禰命を恨んで海の潮を押し上げて須義禰命を漂わせた時、潮が至った地であることから「得鹽(うしお)」といい後に字を改め「海潮(うしお)」となったという。島根県雲南市加茂町宇治にある「宇能遅神社」は、出雲風土記に記載される「宇乃遅社」、および「延喜式」に記載される「宇能遅神社」に比定されており、神名の「宇乃治(うのじ)」は地名の「宇治(うじ)」と関連したものではないかと考えられる。

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  • This Page Last Updated: 2017-02-16