トト
Totho
エジプト神話における月と魔術、知識の神。「ジェフゥティ(Djehuty)」とも呼ばれる。文字と測量を司る女神セシャトは妻とも娘ともされる。またネヘメトアウイやヘケト、マートも妻とされる。「大いなる尊きヒヒ」などと呼ばれ、ヒヒの頭を持った獣頭人身の姿をしている。またトキの頭を持った男として描かれることもあった。知恵の神で文字を書くことができ、神々の世界で書記の役を務めた。古代エジプトの都市ヘルモポリスでは最高神とされたこともあった。彼は常にオシリス、イシス、ホルスなどの、セトと敵対する善神につき従い協力する。例えばオシリスを蘇らせる為の呪文をその妹で妻のイシスに教えたり、セトに負わされた目の傷を呪文の力で癒したりしている。こうしたことからトトは知恵と魔術を司る神として崇められ、42巻からなる「トトの書」を記したとされるようになった(そのため書物の神とも言われる)。また、知恵や魔術を象徴する月と関連付けられるようになり、月の出ている時間の支配者であるとも言われる。この関係から暦法と数を司る神ともされた。冥界の神オシリスの死者を裁く法廷には「レーの天秤」と呼ばれる秤があって、死者の心臓と「真実の羽」と乗せてその人間が悪人か善人かを見定めたとされているが、トトは秤のそばにいて測定の結果を葦ペンでパピルスに記す役目を担っていた。