塵塚怪王
ちりづかかいおう
日本における妖怪の一種。鳥山石燕の「画図百鬼徒然袋」に描かれたもので、唐草文様の入った大きな唐櫃をこじ開ける鬼のような怪物の姿が描かれている。同じように唐櫃をあける鬼の姿は室町時代の百鬼夜行絵巻によく描かれるモチーフだが石燕はこれをモデルとして塵塚怪王を描いたと思われる。「塵塚」とは塵やごみを捨てる場所のことで、石燕が記した文章によればこの塵塚怪王は塵が集まって変化した化け物達の長であるという。この名前は吉田兼好の「徒然草」にある一文「多くて見苦しからぬは、文車の文、塵塚の塵」から着想を得たものと考えられる。というのも、画図百鬼徒然袋において次に描かれているのが文車妖妃なのである。
- 画像
-
- 画像を開く
塵塚怪王(ちりつかくわいおう)
1805
鳥山石燕著
「百器徒然袋(ひゃっきつれづれぶくろ)」上より
国立国会図書館蔵
Copyright: public domainそれ森羅萬象およそかたちをなせるものに長たるものなきことなし/麟ハ獣の長鳳ハ禽の長たるよしなれバこのちりつか怪王ハちりつもりてなれる山姥とうの長なるべしと夢のうちにおもひぬ