ティディマン

ティディマン

Tiddy Mun

イングランド東部のリンカンシャー、ケンブリッジシャー、ノーフォーク、サフォークなどにまたがる「ザ・フェンズ(The Fens)」と呼ばれる沼沢地帯に棲んでいるとされる小さな精霊。「ティディマン」は「小さな人」、「小さいさん」といった意味で、ほかに「ヤースキン(Yarthkin=“地の小人”の意)」、「ティディ・ピープル(Tiddy People)」などの名でも呼ばれた。またティディマンに呼びかけるときには畏敬をこめて「ティディマン、ウィアウタネイム(wi'out a name)=“名無し”の意」と呼ぶことが多い。

ティディマンには霧や水を自由に操る力があるとされ、かつて用水路などがなく大湿地帯であったこの地で大いに崇敬と愛着をもたれていた。ティディマンは多くの場合人間に好意的だが、沼地が干上がってしまうと怒り、病気を流行らせたり、農作物を枯らしたりする。緑の水の洞窟に棲んでおり、長い白髪にもつれた白い顎髭を生やし長い灰色の上着を着た姿をしているという。夕暮れの霧が出始めるころに姿を現し年寄りのように足を引きずって歩き、風のような口笛を吹き、タゲリ(チドリ科の鳥)のような声で笑う。

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  • This Page Last Updated: 2025-07-19