離戯論菩薩りけろんぼさつ
Niṣprapañcavihārivajradhara
密教における菩薩の一尊。サンスクリット名を「ニシュプラパンチャヴィハーリヴァジュラダラ(Niṣprapañcavihārivajradhara)」といい、これは「ヴァジュラ(金剛)の様に固くまやかしに惑わされないこと」を意味する。つまり妄想や無意味で無益な言論から離れ真智を顕得ることを象徴する仏尊とされる。「離戯論菩薩」、「住無戯論菩薩(じゅうむけろんぼさつ)」と意味訳されるほか「儞瑟波囉半左(にしはらはんさ)」と音写する。胎蔵界曼荼羅の金剛手院の第三列(向かって右側)東方(上方)より第五位に配される。その像容は肉色の身色で右手は拳にして外を向けて立て、左手は金剛拳にして独鈷杵の端を子指で吊る形で持ち、右手も金剛拳にして外側に向け、右ひざを立てて赤蓮華に坐す。
種字は「हूं(hūṃ)」、密号は「真行金剛(しんぎょうこんごう)」、三昧耶形は独鈷杵(あるいは独鈷杵の上部が紡錘形のもの)。
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離戯論菩薩
望月信亨 編
「仏教大辞典 第5」より
国立国会図書館蔵
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